新たに法人を設立した方は、まずは行うべきこととして、『会社名義での銀行口座開設』があります。

しかし、ここで悩むのは、どの銀行で法人口座を作ろうか?ということだと思います。

  • 会社近くの店舗やATMがある銀行がいい?
  • 振込手数料が安いネット銀行がいい?
  • 会社のパソコンから振込手続ができる銀行がいい?
  • スマホなどでその場で残高の確認できるアプリが利用できる銀行がいい?
  • 社会保険などの税金の口座振替が利用できる銀行がいい?
  • 口座維持手数料がかからない銀行がいい?
  • あとで第三者が確認できるように通帳はあった方がいい?
  • デビットカードも利用できる銀行がいい?

それぞれ、利用目的にあった銀行を選ぶのは以外と難しいものです。

大きく分けると、「昔からある店舗型の銀行」と「ネット専門の銀行」がありますが、店舗型の銀行でインターネットにより取引を行うためのネットバンキングを利用する場合には、別途月額利用料(月1,000円~3,000円程度)が必要となります。

ちなみに、店舗型の銀行ではありますが、「ゆうちょ銀行」のみネットバンキングの月額利用料は無料となっています。

そして、それぞれの銀行によって「できないもの」「手数料が安いもの」などがあり、それぞれ一長一短です。

銀行口座の利用目的と特徴

まずは下記のように、銀行口座の主な利用目的をピックアップしておくことをオススメします。

  1. 取引先からの売上代金の振込入金口座
  2. 仕入や給与などの経費の振込支払口座
  3. 店舗などの現金の管理口座
  4. 公共料金やカードなどの自動引落口座
  5. 社会保険料や労働保険料の自動引落口座
  6. 税金(国税)の納付口座
  7. 事業資金の融資(借入や返済)口座 など

取引先からの売上代金の振込入金口座

  • ネット銀行は振込入金があった際に、メールなどで即時に通知があるので、入金確認にはとても便利
  • 一般的にネット銀行よりもメガバンクの方が取引先への信用力が高いとも言われています

仕入や給与などの経費の振込支払口座

  • 店舗型銀行でネットバンキングを利用する場合には、月額利用料(月1,000円~3,000円程度)などの費用がかかる
  • ネット銀行は、ネットバンキングの月額利用料金が無料であり、かつ振込手数料が大幅に安い

店舗などの現金の管理口座

  • 店舗の近くにATMや夜間金庫がある金融機関の方が便利かつ安全

公共料金やカードなどの自動引落口座

  • ほぼ全ての金融機関で可能

社会保険料や労働保険料の自動引落口座

  • 「ゆうちょ銀行」と「ネット銀行(楽天銀行やジャパンネット銀行など)」では自動引落は利用できない
    ただし、社会保険料については、「ペイジー(Pay-easy)」に対応した銀行では、窓口に行くことなく、パソコンやATMなどから支払うことは可能

税金(国税)の納付口座

  • 「ゆうちょ銀行」と「ネット銀行(楽天銀行やジャパンネット銀行など)」では口座振替は利用できない
    ただし、「ペイジー(Pay-easy)」に対応した銀行では、窓口に行くことなく、パソコンやATMなどから支払うことは可能
    その他別途手数料がかかりますが、クレジットカードにより納付する方法もあります。

事業資金の融資(借入や返済)口座

  • 銀行から融資を受ける予定がある場合には、融資を受ける銀行(日本政策金融公庫の場合には、店舗型の銀行口座)に口座開設する必要がある

法人口座が開設できる金融機関

店舗型の金融機関

店舗型の「銀行」「信用金庫」「労働金庫」のほか「農協や漁協」は法人口座の開設が可能です。
あまり知られていませんが、ゆうちょ銀行(郵便局)も口座を作ることができます。

インターネットバンキングを利用しない場合には、ほぼ全ての銀行で口座維持手数料などの費用はかかりませんが、利用する場合には下記の利用料がかかります。

銀行名 インターネット
バンキング
月額利用料(税抜)
振込手数料
(他行宛)
(
税抜)
三菱UFJ銀行 1,600円(Lightは無料) 500円~
三井住友銀行 2,000円 500円~
みずほ銀行 2,000円 500円~
りそな銀行 2,000円 600円
ゆうちょ銀行 0円 200円~
JA(農協) 1,000円~ 200円~

※ 店舗型銀行の中で、利用料・振込手数料が安価なJA(農協)を参考までに載せておきました。
お近くに店舗がある方は、おススメです。

ネット(専業)銀行

開設できる銀行 開設できない銀行
楽天銀行(月額利用料0円) ソニー銀行
住信SBIネット銀行(月額利用料0円) セブン銀行(売上入金サービスなどを利用すれば可能)
ジャパンネット銀行(月額利用料0円) じぶん銀行
イオン銀行(月額利用料2,160円)
オリックス銀行(月額利用料0円、振込以外の入出金は不可)
スルガ銀行(月額利用料0円)

※ 平成30年5月現在。その他に数店舗しか持たない『半ネット銀行』のような「新生銀行」や「東京スター銀行」などもありますが、今回は除外してあります。

オススメの銀行

店舗型(インターネットバンキングを利用しない方)

どこの銀行でも維持費はかかりません。
従って、会社やご自宅の近くに店舗やATMがある銀行がオススメということになります。

店舗型(インターネットバンキングを利用する方)

店舗型の銀行の中でその料金が低く利便性が高いのが、あまり知られていない『ゆうちょ銀行(ゆうちょダイレクト)』です。

店舗型銀行では唯一、インタネットバンキング利用料が無料で、振込手数料が低く、専用アプリもあるので、インタネットバンキングを一度体験してみた方にもおススメです。

ゆうちょ銀行の良い点

  • インターネットバンキングの月額利用料が無料
  • ゆうちょ銀行ATMでの入出金は手数料がかからない
  • ゆうちょ口座間の送金は月5回まで無料
  • ゆうちょ銀行公式アプリによりスマホにより残高照会が可能
  • 他行宛の振込手数料がメガバンクに比べて安い
  • ネット銀行と違い、通帳も発行されますので通帳記帳により「取引記録の保存」が可能
  • 通帳のコピーによる第三者への取引提供が可能
  • ペイジー(Pay-easy)も利用できるため、通販や税金などの支払がネットにて可能

ゆうちょ銀行の悪い点

  • 社会保険料や労働保険などの口座引落ができない
    (毎月ペイジー(Pay-easy)を利用して手数料がかかることなく支払することは可能です)
  • ゆうちょ銀行は1,300万円という預入限度額があります。超過分は振替口座扱いになってしまい利息がつきません
  • ゆうちょ銀行はデビットカード機能を付けることができますが、現在主流の利用可能店舗(加盟店約45万)が多い「Visaデビット」ではなく、衰退気味の「J-Debit」のため、加盟店舗は全国約3万店と少なく、ポイントの特典は一切ありませんので、ほぼ使えません

ネット銀行

月額利用料などの維持費がかからない、「楽天銀行」「住信SBIネット銀行」「ジャパンネット銀行」の3つの中からの選択になるかと思います。

それぞれ若干特徴がありますので、利用目的に合わせて選ぶことになります。

手数料比較

銀行名  振込手数料
(他行宛)
(税込)
 ATM手数料(8%税込)
入金 出金
楽天銀行  165円
~258円
 3万円以上無料
3万円以下216円
1回につき
216円
住信SBIネット銀行  165円
~258円
  入出金ともに1回につき
108円
ジャパンネット銀行  172円
~270円
 毎月1回無料
(2回目以降)
3万円未満の入出金は162円~ 

※ 楽天銀行は、少しわかりづらいですが、3万円以上の入金の場合のみATM手数料が無料です。

※ 住信SBIネット銀行は「振込優待プログラム」(他行からの振込が月間10件以上VISAデビットカードの利用金額(月末確定金額)が10万円以上の2条件)により月10回(1条件のみ満たす場合)又は月20回(2条件を満たす場合)振込手数料が無料

※ ジャパンネット銀行は「前月の預金平均残高(円普通預金、円定期預金)が3,000万円以上」の場合毎月5回の振込手数料が無料

機能比較

銀行名 ペイジー対応
(Pay-easy)
デビットカード
機能
その他
楽天銀行
(JCBデビット)
口座開設時に固定電話が必要
総合振込が無料
住信SBIネット銀行 ×
(VISAデビット)
 月額3,240円で
WEB総合振込が利用可能
ジャパンネット銀行
(VISAデビット)
 月額1,080円で
WEB総合振込が利用可能

※ 総合振込とは、仕入先への振込や給与振込を一括して振込依頼できるサービスで、一度にまとめて振込を行うことにより、事務手続きの軽減が図れます。

法人の口座はいくつ作った方がいい?

法人の銀行口座は、たくさんあればあるだけ管理や帳簿処理も大変になります。
1つの銀行口座に全ての取引を集約すると、預金の振替などの事務的な手続が楽になり、資金繰り管理などもしやすくなります。

ただ様々な取引が増えてくると、なかなか難しいものです。

その場合には、その取引の目的に応じて「売上入金専用口座」「仕入や経費振込専用口座」「銀行融資決済専用口座」などの役割を別けることにより、担当者別に閲覧させることも可能になるだけでなく『振込手数料の削減』『売上入金の随時チェック』のほか『経費管理』にも役立ちます。

特に、下記の「銀行振込の夜間休日を含む24時間化」も始まります。
請求書に振込先銀行が3つも4つも記載してある会社様は、計画的な銀行口座の整理をオススメします。

この記事は、執筆日現在の法令などに基づくものであり、その後の法改正によるアップデートは原則としてしておりません。

編集後記

平成30年10月より銀行振込が夜間休日を含めて24時間化されると、平成30年5月10日に発表されました。

全国銀行資金決済ネットワークのほぼ全ての約500の金融機関の間で「即時振り込みできる時間帯」が、平成30年10月9日午後から拡大するとのことです。

これまで他の銀行への振込みは、手続きが午後3時を過ぎると翌営業日に入金が行われていましたが、これにより今後は平日夜間、土祝日でも即時入金が可能になります。

25日などの給与支払日が銀行休日の場合には、「休日の前日に振込みする」のが今までの給与規定(商慣習?)でしたが、これからは休日関係なく支払日通りの支払が可能となります。

将来、大手企業がこの規定を改訂するのか気になるところです。

投稿者プロフィール

盛永崇也
盛永崇也
東京神田で税理士・行政書士として中小企業の方やフリーランスの方などに対して税金申告業務のほか税務相談・開業支援・会計ソフト指導・WEB関連支援などの仕事をしています。『役に立つ税金情報』を中心に『日々の仕事上で気になったこと』『これは便利だなと思ったこと』などを執筆しております。