代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2021.10.25

収入印紙が変更されたので種類や使用方法と節約方法などを解説!

平成30年(2018年)7月1日から発行される収入印紙が全て変更されました。

そのこと自体は大したニュースではありませんが、これを機に収入印紙の使用方法などを再確認するとともに、最近では企業も続々と始めている収入印紙代を節約方法を解説します。

収入印紙の変更(平成30年7月1日より)

国税庁は、平成30年7月1日より、収入印紙の種類を現行31→19に減少させるとともに、昨年末に偽造事件も起こったことなどもあり、新たに偽造防止技術を施して、収入印紙を全面改定することとしました。

収入印紙の種類の変更

この改定のニュースで初めて知ったのですが、1円~120円の収入印紙というものが存在していたのですね。実務で使用したことも、実物を見たことはありませんでしたが…

新しくなった収入印紙画像(国税庁HPより)

変更の内容まとめ

券種

改正前

改正後
(平成30年7月1日~)
1円・2円・5円・10円
20円・30円・40円・50円・60円・80円・100円・120円

現行のまま

200円

○(特殊発光インキ
パールインキ採用)

300円・400円・500円・600円

○(特殊発光インキ
メタリックインキ採用)

1,000円・2,000円・3,000円・4,000円・5,000円・6,000円
8,000円・10,000円・20,000円・30,000円・40,000円・50,000円・60,000円・100,000円

○(特殊発光インキ
メタリックビュー採用)

古い収入印紙は使えなくなる?

平成30年7月1日から新しい収入印紙に改正されますが、お店のレジの中や会社などに買い置きしてある旧デザインの収入印紙は、7月1日以降も使うことができますので、ご心配は不要です。

収入印紙の基礎知識

収入印紙とは、印紙税という税金で、租税や行政に対する手数料の支払いに利用される証票です。
国が租税や手数料を徴収するために用いられるのが収入印紙です。
印紙税は、印紙税法で定められた「課税文書」と呼ばれるものに対して課税され、その課税文書の中には、領収書や契約書のほか預金通帳など様々なものがあります。

領収書(受取書)に貼る印紙税額一覧表

代表的な領収書(第17号文書)に貼る収入印紙の金額は下記の通りです。

1.売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書

記載された受取金額収入印紙
5万円未満非課税
100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下600円
300万円超500万円以下1,000円
500万円超1千万円以下2,000円
1千万円超2千万円以下4,000円
2千万円超3千万円以下6,000円
3千万円超5千万円以下10,000円
5千万円超1億円以下20,000円
1億円超2億円以下40,000円
2億円超3億円以下60,000円
3億円超5億円以下100,000円
5億円超10億円以下150,000円
10億円超200,000円
受取金額の記載のないもの200円

2.売上代金以外の金銭又は有価証券の受領書

受け取り金額収入印紙
記載された受取金額が5万円未満のもの非課税
記載された受取金額が5万円以上のもの200円
受取金額の記載のないもの200円

収入印紙の使用方法と消印の方法は?

収入印紙を使用する場合には、その文書と収入印紙の彩紋とに掛けて消印(割印)しなければなりません。
これは、貼付した収入印紙を剥がして再利用する脱税行為を防止するためです。
消印しなかった場合には、収入印紙の金額と同額の過怠税が課税されることになります。
それでは、ここでその消印方法を再確認します。

収入印紙の消印方法

  1. 課税文書に収入印紙を貼付する
  2. その課税文書と印紙にまたがって押印(割印)又は署名する

押印又は署名の方法

○ 会社の印鑑で割印
○ 経営者や従業員の個人印鑑やシャチハタなどのゴム印で割印
○ 会社名サインにより署名
○ 経営者や従業員のサインによる署名
× 単なる斜線・二重線・×印による消印
× あとで消すことができるボールペンでの署名

その他契約書などの収入印紙には、契約当事者全員の印鑑を押すことが実務上よくありますが、印紙税法では誰か1人の消印で良いことになっています。

収入印紙(印紙税)を貼らなかったら?

この印紙をはり付ける方法によって印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成に納付(添付&消印)しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち『当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税』が徴収されることになります。

例えば200円の収入印紙を貼らなかった場合には、罰金を含めて600円が徴収されることになります。
さらには、故意に印紙を貼らない場合は、一年以下の懲役若しくは20万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとなっています
ただし、調査前の事前にこれに気が付き自己申告した場合には、「本来の印紙税額+その10%の金額」の過怠税で済むことになっています。

課税文書である契約書には、印紙を貼らないのは脱税という違法行為となりますが、その契約書の成立・不成立には影響しませんので、契約書自体は有効です。

印紙税なんて何であるの?

現在の印紙税法は、1899年に制定された印紙税法が昭和42年に全部改正されたもので、この法律によって「収入印紙」という制度があります。

の収入印紙による税収は、年間1兆776億円に上り、酒税(1兆3496億円)やたばこ税(1兆179億円)とほぼ同様の 税収となっており、あの相続税でも約2億円なので、国にとっては貴重な財源の1つとなっておりますので、印紙税を廃止も世間で叫ばれていますが、そのためには他の財源確保という問題があります。
印紙税というものは、財産や権利などの「取得・移転」に対して課せられる「流通税」といわれる税金の一種です。
その他の「流通税」としては、ほかに自動車重量税や登録免許税、不動産取得税などがあります。
この印紙税の特徴は、一般的な流通税とは異なり、流通取引そのものを課税対象とするのではなく、流通取引時に作成される文書を課税の対象とする点にあります。

ではなぜ、文書に税金が課せられるのでしょうか?

それは、「契約書などの文書が作成される場合には、その取引に伴って生じる経済的利益があると推定され、文書作成の背景にある経済取引に担税力があるとして、課税が行われている」とのことです。

印紙税が課税されない「電子契約書」が普及するとその不公平が大きな問題になり、近い将来財源の問題などもあり、印紙税法全面廃止ではなく「電子契約書」も課税という改正になる可能性も考えられます。

収入印紙を節約する方法

収入印紙を節約する方法といっても、平成29年12月にニュースになったような収入印紙を偽造するといった犯罪行為をするのではありません。

国税庁HP:偽造収入印紙が発見されました(H29.12月)

(その1) 契約書や領収書などを電子発行する

契約書

日本の法律では基本的に契約方式は自由なので、原則として口頭や電子メールでも成立します。
(注)特別な契約書などには、別の法律により書面により締結することを要求されている場合があります。

従って、契約書をPDF化してメール本文において契約内容の合意が確認できるようなメールに添付して送信すれば、収入印紙を貼る必要はありません。

最近ではこのメリットを活かして、事前に内容についてお互いの合意が済んでいる契約書・発注書などの書類をアップロードし、相手方が同意することにより、相互同意がなされたことを示す電子署名が施されるCLOUDSIGN(クラウドサイン)などの下記クラウドサービスなどもあります。

クラウド契約サービス

CLOUDSIGN(クラウドサイン) 月額0円~
Holmes(ホームズ) 月額5,180円~

領収書

領収書についても下記のような方法により発行されたものについては収入印紙を貼る必要はありません。

  • 領収書をWEB上で電子発行する
  • 領収書をメールで取り交わす
  • 領収書をFAXで取り交わす

国税局もこのような電磁的記録を利用した契約締結に対して収入印紙を貼る必要がないとしています。
特に、中小企業などが社長の自宅などの不動産の家賃を毎月現金で支払っている場合の領収書を発行する際の節約には、とても有効な方法です。

(その2)金額の表記を変える

節約の効果は様々ですが、平成元年の消費税の導入とともに約30年間よく使われている方法です。
金額の表記を変えるだけで、収入印紙を節約できる場合があります。

具体的には、「消費税額等が区分記載する」又は「税込価格及び税抜価格を記載する」ことにより、その消費税額は印紙税の記載金額に含めないことができます。
(注) この方法は、土地建物の売買契約書など(第1号文書)・建物の建築請負契約書や注文請書など(第2号文書)・領収書など(第17号文書)のみの適用となります。

(具体例)お店などで48,000円(消費税抜き)のサービスを提供し領収書を発行する場合

200円の収入印紙の添付が必要な表示ケース
  • 領収金額 51,840円とのみ表示
  • 領収金額 51,840円(消費税8%を含む)
  • 領収金額 51,840円(税込)
収入印紙の添付が必要ない表示ケース
  • 領収金額 51,840円(内消費税3,840円)
  • 領収金額 51,840円(税抜金額48,000円 消費税3,840円)

建物の建築請負契約書や建物などの売買契約を締結する場合のほか、たびたび5万円以上の領収書を発行するような店舗や飲食店などには、とても有効な方法です。

この記事は、執筆日現在の法令などに基づくものであり、その後の法改正によるアップデートは原則としてしておりません。

編集後記

アイキャッチ画像に新しい収入印紙をアップしようと、当事務所の1Fフロントでも購入できるのですが、あえてよく行く事務所近くの郵便局に行ってみました。しかし、手渡されたのは今までと同じ収入印紙…
窓口の方に聞いてみたら「うちではまだ在庫がたくさんあるので…」との返答
窓口の方もまだ新しい収入印紙は目にしたことがないとのこと
新収入印紙にお目にかかれるのはチョット先かもしれません。
ということで、残念ながらアイキャッチ画像は変更前の収入印紙となっています。

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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