出張がある会社の場合には、 出張旅費規程を作成して、役員や従業員の出張に対して「出張日当」を支払うことにより、 税金や社会保険料を節約するだけでなく、社員に対する残業代節約できることがあります。

出張するのが役員のみの会社や、創業時に多い社長1名の会社の場合には、特にメリットがあります。

メリット(節税になるもの)
  • 法人税や法人住民税
  • 消費税(一部条件あり)
  • 社会保険料
  • 残業代(一部条件あり)
デメリット
  • 役員だけでなく社員全員に対して出張日当を支給することにより会社の支出が増える

出張日当とは

会社の業務で出張する場合には、出張の交通費などの実費とは別途に、会社から支給するものです。

この出張日当の支給は、出張の移動時間などが労働時間とされないかわりに、外出などで食事代など通常より多い出費であったり、早い時間からの移動時間や深夜に及ぶ移動などの慰労という意味があります。

参考

出張時の残業(労働)時間

出張時は、事業場外で業務をすることになるので、その実際の労働時間を確認することは難しいので、所定労働時間労働したものとみなすと規定されています。(労基法38-2-1)

出張時の移動時間

出張時の移動時間は、通勤時間と同じ性格のものであって労働時間とはならないとされています(判例)

出張日当を支給する場合にすること

  1. 支給基準が定められた出張旅費規程(役員だけでなく全従業員にも支給する旨の規定が必要)の作成
  2. 出張精算書(日当や出張経費)などの出金書類
  3. 出張の内容などが記載された出張報告書

出張日当の金額は?

経費として認められる出張日当の金額は、通常必要と認められる範囲内の金額となります。

具体的にいくらまで経費として認められるの? と聞かれても明確な金額はありません。(いわゆる税金のグレーゾーン)

大手企業では、出張者の地位、出張の目的地までの距離、出張期間の長短、宿泊の要否により規定が作られており、多くの企業では国内出張旅費規程(近距離出張と遠距離出張)と海外出張旅費規程を設けています。

その他、宿泊費は別途支給するか否かなどにもより異なりますので、具体的な金額は専門家に相談しましょう。

一例

近距離出張 遠距離出張(宿泊なし) 遠距離出張(宿泊あり)
役員 〇〇円 〇〇円 〇〇円
管理職 〇〇円 〇〇円 〇〇円
一般社員 〇〇円 〇〇円 〇〇円

通常必要と認められる範囲内の金額とは(所得税基本通達9-3抜粋)

  1. その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
  2. その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

出張日当の取り扱い

支払側(会社)

  • 法人税・法人住民税 → 経費(損金)になります
  • 消費税 → 仕入税額控除の対象として 納付する消費税から差し引けます
    ※ 消費税を一般原則計算の方法により申告している法人に限ります
    ※ 海外の出張手当は控除対象外

受取側(役員や従業員)

  • 所得税・個人住民税 →  課税されません
  • 社会保険料 → 通勤交通費と違い、保険料の計算対象外

残業代の取り扱い(参考)

支払側(会社)

  • 法人税・法人住民税 → 経費(損金)になります
  • 消費税 → 仕入税額控除の対象となりませんので、納付する消費税から差し引くことはできません。

受取側(役員や従業員)

  • 所得税・個人住民税 →  課税されます
  • 社会保険料 → 残業代は社会保険料の計算対象

出張日当を支給して残業代を節約?

現在多くの会社では、出張手当を支給した場合には残業代の支給はないと規定されております。

直行直帰などの一人出張の場合には、一般的に「事業場外のみなし労働時間」というものが適用され、残業代の支給は必要ないことが理由です。

ただし、出張後に会社に帰社したり、出張の上司が随伴したりと常に会社からの指示を受けている場合などの時間管理が可能な場合には、残業代の支給が必要となりますますので注意が必要です。

したがって、直行直帰の出張などに対して残業代を支給している会社が、出張日当を支給すれば残業代の支払いをしないことが可能となり、残業代を節約できるケースがあります。

編集後記

夏至も過ぎ梅雨もまもなく明けようとするこの季節。
そろそろ我々の税理士業界は10月頃までの短い閑散期に入っているはずなのですが、なかなか思うように時間が取れません。
大変ありがたいことではありますが、なんとか事務所内部の事務作業をもっと効率化して、来月には久々に法人様の税務顧問の新規受付を再開したいと考えております。

投稿者プロフィール

東京パトレ
東京パトレ
東京神田で税理士・行政書士として中小企業の方やフリーランスの方などに「各種税金の申告業務」のほか「税務相談」「開業支援」「会計ソフト指導」「WEB関連支援」などの仕事をしています。『役に立つ税金情報』を中心に『日々の仕事上で気になったこと』など「お金にまつわる情報」を中心に執筆しております。