近年、副業を認めている会社が増えてきていますが、もちろんその副業についても税金はかかります。
そんな中、会社にお勤めの方で副業している方の確定申告を、毎年かなりの数をさせて頂いていますが、依頼者の方より時々言われるのが「副業をメインの会社にバレたくない!」という切実なお話です。
バレない方法は、副業の働き方によってその対応方法も異なり、「マイナンバー制度」「住民税の通知書の秘匿措置」や「アルバイトの社会保険加入範囲の拡大」など、どんどん新たな仕組みができています。
そんな中、世の中には「副業がばれない方法」らしきことが書いてあるサイトは、実にたくさんありますが、専門家として見ると「どれも・・・?」という感じだったので、副業している会社員の方が「勤務先にバレる原因」と「バレないようにする方法」について、わかりやすくまとめてみました。
副業がバレる原因
先に結論を書いておきますが、副業がバレる原因は、以下の4つです!
1.メインの勤務先に郵送される「住民税の特別徴収税額決定通知書」
お住まいの市区町村から勤務先に送られる個人住民税の納付書類
2.社会保険の「二以上事業所勤務届」
社会保険に加入義務がある2以上の会社に勤務した場合
3.勤務先のエゴサーチ
勤務先が社員のSNSなどをエゴサーチ
4.タレコミや密告など
同僚・友人・知人から会社に…
まず「副業」の種類は大きく分けて2つ!
会社員がする副業といっても、その種類はいくつもありますが、大きく分けると2つあり、それぞれバレる原因と対応策が、全然違います。
まずは、自分の「副業」の種類を、下記より2つより確認してください。
- 会社員やパート・アルバイトなどの労働者として、もう一つの会社で働いて給与をもらう方
- 配達や作業などの仕事を特定の会社から業務として請け負い、その対価としてお金をもらう方
- 講師やライターなどの資格や特技による収入がある方(いわゆるフリーランスの方)
- アフィリエイトやアドセンスなどのネットでの広告収入がある方
- ネットショップなどでの商品の売却収入がある方
- クラウドソーシングなども在宅ワークによる収入がある方
- 不動産を購入して、賃貸して家賃収入がある方
- 株式投資などをしてもらう収入がある方
会社員の副業が勤務先にバレないようにする方法【副業が給与収入の方編】
休日などの勤務時間外に、もう一つの勤務先で会社員やパート・アルバイトなどの労働者として、会社で働いて給料をもらう方です。
一般的には、「短時間・短期間のアルバイト」や「日払いのアルバイト」が多いでしょう。
勤務先にバレる原因(副業が給与収入の方)
「副業が給与収入の方」がバレる可能性がある原因は、下記のの1~4のすべてが該当します。
- メインの勤務先に郵送される「住民税の特別徴収税額決定通知書」
- 社会保険の「二以上事業所勤務届」
- 勤務先のエゴサーチ
- タレコミや密告など
特に多いのが、1.「メインの勤務先に郵送される住民税の特別徴収税額決定通知書」です。
バレないようにする前に、下記の住民税の課税の流れを、まずは理解してください。
住民税の課税の流れ
給与支払報告
本業や副業問わずすべての勤務先は、一年間の給与支払総額を、従業員やパート・アルバイトが住んでいる市区町村に対して、毎年1月に必ず報告します
住民税の課税通知
報告を受けた市区町村は、個人別に全ての勤務先の給与を合算して住民税を計算して「納付書と特別徴収税額決定通知書」をメインの勤務先に送付します
自社以外の給与金額の把握
メインの勤務先の給料計算の担当者が、市区町村から郵送されてきた「特別徴収税額決定通知書に記載されている給与収入の総額」と「自分の会社の給料総額」を比較することにより、差額があれば、その従業員が副業のアルバイトをしていることがわかる
特別徴収税額決定通知書(例)
ただし、近年多くの市区町村の「特別徴収税額決定通知書」は、秘匿措置(目隠しシールの貼付)がされているため、メインの勤務先が詳細を確認できないようになってきています。
バレないようにする方法(給与収入の方)
所得税の確定申告
お住まいの税務署に対して、受け取った2つ以上の給与の源泉徴収票を合算して、確定申告をします。
(副業である給料の収入が20万円以下の人については、確定申告は不要です)
市区町村の住民税窓口で手続き
確定申告後、お住まいの市区町村の住民税窓口にて、所定の書類を持参して、副業分の給与収入にかかる住民税について、特別徴収(メインの勤務先の給与天引き)→普通徴収(納付書を自宅に郵送してもらい本人が直接納付する方法)に変更してもらう手続きをします。
(ただし、市区町村の一部では、このような例外的な手続きはできないところもあります。)
住民税を納付
副業分の給与収入にかかる住民税を自分で直接納付
注意
税務署に提出する確定申告書の「第2表」の「住民税欄の給与公的等所得以外の欄」→「自分で納付にマーク」→ ◯を記入して提出すれば、バレない!
と他のサイトによく書いてありますが、これは副業が「給与以外の収入の方」の場合なので、注意してください。
社会保険の「二以上事業所勤務届」
社会保険(健康保険・厚生年金)の制度でも、副業が会社にバレることがあります。
それは、副業が仮にアルバイトであっても「おおよそ週30時間以上の勤務」である場合には、現在の制度では社会保険の加入義務があるからです。
さらに、副業先の全従業員が501人以上の大きな会社(大手のチェーン店や派遣会社など)の場合には「おおよそ週20時間以上の勤務」でも社会保険の加入義務の対象となります。
このように副業先でも社会保険の加入義務があるときには、2ヶ所の給与収入により社会保険料の金額が決める必要があるため、その手続き上、メインの勤務先に副業がバレることになってしまいます。
なお、アルバイトなどではなく、副業の個人事業を、節税のために会社を設立して法人化し、社長として役員報酬として給料をもらう場合でも、法人が役員報酬を支払う場合には、法人として社会保険に加入義務がありますので、同様にバレる原因ともなります。副業の事業を会社にしたいとお考えの方は、特にご注意ください!
バレる原因と勘違いされているもの
マイナンバーの影響で会社に簡単にバレる?
2016年からマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)というものが始まりましたが、これは「税務署、市区役所や年金事務所などの各役所」の間でのみで、情報のやり取りをする制度です。
なので、勤務先などの民間企業は、その情報を直接知ることはできませんので、これにより副業がバレることは基本的にありません。
アルバイト代は現金でもらえば会社にバレない?
副業のアルバイト代などの給与収入は、「振込ではなく現金でもらえばバレない!」「確定申告しなければバレない!」と思っている方がいますが、全く関係はありません!
会社員の副業が勤務先にバレないようにする方法【副業が給与以外の収入の方】
副業が給与以外の収入の方とは?
- 配達や作業などの仕事を特定の会社から業務として請け負い、その対価としてお金をもらう方
- 講師やライターなどの資格や特技による収入がある方(いわゆるフリーランスの方)
- アフィリエイトやアドセンスなどのネットでの広告収入がある方
- ネットショップなどでの商品の売却収入がある方
- クラウドソーシングなども在宅ワークによる収入がある方
- 不動産を購入して、賃貸して家賃収入がある方
- 株式投資などをしてもらう収入がある方
会社にバレる原因(副業が給与以外の収入の方)
「副業が給与以外の収入の方」がバレる可能性がある原因は、下記の3つです。
- メインの勤務先に郵送される「住民税の特別徴収税額決定通知書」
- 勤務先のエゴサーチ
- タレコミや密告など
バレないようにする方法(副業が給与以外の収入の方)
住民税の課税の流れは、副業が給与の方と同じですが、バレないようにする方法は違います。
副業の所得(もうけ)が年間20万円以下の方
- 税務署に所得税の確定申告書を提出しない
- 所得税の確定申告の必要はありませんので、確定申告さえしなければ、バレる心配は一切ありません。
注意!(確定申告書を提出する方)
副業の所得(もうけ)が年間20万円以下であっても、医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税などにより確定申告をして税金の還付を受ける場合には、確定申告書に「給与以外の副業の所得」を含めて記載しなければなりません。
その場合にバレないようにするには、下の「副業の所得(もうけ)が年間20万円を超える方」と同じように記載する必要があります。
副業の所得(もうけ)が年間20万円を超える方
- 所得税の確定申告書の「第2表」の「自分で納付」に◯マークをして申告する
- 副業の所得(もうけ)が年間20万円を超えるときには、本職の給与の収入と合算して、必ず確定申告をしなければいけません。
- その際に提出する確定申告書の「第2表(2枚目)」の下の方に「住民税・事業税に関する事項」という欄があります。
- ここの「自分で納付」に ◯マークをして確定申告をすれば、「副業収入にかかる住民税」については、普通徴収(納付書を自宅に郵送してもらい本人が直接納付する方法) となり、メインの勤務先に送付される「特別徴収税額決定通知書」には、副業については記載されず、メインの勤務先に副業がバレることは、まずありません。
確定申告書の記載方法
この記事は、執筆日現在の法令などに基づくものであり、その後の法改正によるアップデートは原則としてしておりません。
当事務所の確定申告サービス
料金やご依頼の流れなどは、下記のサイトをご確認ください。
とうとう消費税10%への増税が実施されました。
政府は当初『消費税の増税による増収分』は、「後代への負担のつけ回しの軽減」と「社会保障費の充実」に全額充てるとしていましたが、そこに「少子化対策」として「幼児教育・高等教育・私立高校の授業料の無償化」に約30%も充てることとしました。
私立に通う高校生の娘を持つ身からすると、個人的には大変ありがたいことではあるのですが、さらなる「軽減税率8%の実施」「景気対策として増税分の還元制度」と使い道だけが増え続け、「年金支給の減額&延長」「社会保障費の負担増加」だけではなく、次なる「消費税の増税」が、そう遠くない将来ではないかと心配なのは、自分だけでしょうか?
投稿者プロフィール
- 盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)
「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。