アルファード業績が順調な会社のよくある税金対策の一つとして「車を購入する」という選択があります。
車は金額が大きいので、事業に必要な車であれば新たに購入すると、それなりの節税効果が見込めます。

また、会社が新たに新車や中古車を購入する場合もあれば、社長や従業員が所有する車を社有車として会社が買取ることもあります。

今回は、節税のためこのような会社が買取りするケースでの【誤りやすい注意点】の解説記事です。

車を会社経費とするためには?

会社名義&事業に使うこと!
車を購入すれば、なんでもかんでも経費にできる訳ではありません。
まずは、車が会社名義であり、事業(ビジネス)で使う車である必要があります。
事業で使う車は主に、営業社員が使う「営業車」、荷物などを運ぶ「配送車」、社長がビジネスで使う「移動車」などがあります。

車を会社経費とするためには?

車は買ったときに一度に経費になりません!
車を購入した金額は、車の種類(普通自動車・軽自動車)や使用する事業内容により定められた耐用年数(3年~6年)にわたって、減価償却費という名目で経費とすることになります。
さらに、会社決算の途中で購入した車両については、使用した月数に応じて月割計算することになります。

計算例

300万円の営業車(新車:耐用年数6年)を決算の最終月に購入した場合

購入した年度の経費金額の計算方法

3,000,000円×0.333(定率法)=999,000円(年間)
↓1ヶ月しか使用していなかったので
999,000円(年間)×1ヶ月/12ヶ月=83,250円(決算の経費金額)

年度別の減価償却費(経費)の金額

減価償却費計算

年度別の減価償却費(経費)グラフ

減価償却費グラフ

車を会社が社長や従業員から買い取る

個人から会社が車を買い取る

経営者個人がすでに持っている「事業で使っている車」を会社の経費とするためには、原則として車の名義を会社に変更する必要があります。

また少ないですが、従業員がすでに持っている車を平日は営業車として使用する場合に、なるべく税金や社会保険料がかからないように維持費を会社が負担してあげるためや福利厚生目的のために、従業員から会社が車を買い取ったり、車を会社が買い与えたりする会社が最近ではあります。

その際のポイントとして、「買取金額」「車庫証明書」「自動車保険の切り替え」などがいくつかあります。

車をいくらで買い取る?

これがとても大事なポイントです。
時価200万円の車の例で説明していきます。

200万円(時価)で買取り【おすすめ度

個人が会社に自家用車を「時価200万円で譲渡する」と下記のようになります。

売る側の個人

当然ながら200万円で売ったものとなります。

買い取る会社

当然ながら車を200万円で購入したものとして、耐用年数の期間にわたって経費となります。

300万円(時価よりも高い金額)で買取り【おすすめ度 × 】

感のいい方は「会社が高い金額で買い取れば、会社の経費が増えるんでない?」とお考えかと思います!
しかし残念ながら、税金の取り扱いは下記のようになってしまいます。

売る側の個人

理不尽なような気がしますが、300万円ではなく時価である200万円で売ったものとして計算します。
さらに、時価よりも高い部分の金額100万円(300万円-200万円)は、給与所得として所得税が課税されてしまいます。

買い取る会社

残念ながら買取価格300万円ではなく、時価の200万円で車を購入したものとして耐用年数の期間にわたって経費となります。
さらに、時価よりも高い部分の金額100万円(300万円-200万円)は、賞与(他人の場合には寄付金)として計算することになり、売り主が役員の場合には経費とはなりません。(役員への賞与は損金不算入)

結果

時価よりも高い金額としても、会社側は時価で買ったものとして計算しなければならないだけでなく、売る側と買う側ともに別途納税が発生することになります。

0円で買取り(タダであげる)【おすすめ度 × 】

会社に資金がないなどの理由で、個人が会社に車をタダであげる(贈与する)と下記のようになってしまいます。

あげる側の個人

0円ではなく、原則として時価200万円で売ったものとして計算しなければなりません。
※『その資産の時価で譲渡があったものとみなす』という所得税法59条の規定(みなし譲渡所得課税)があるため

もらう側の会社

法人が車などの資産の贈与を受けたときは、その時点で時価相当額の受贈益(もうけ)に対して課税されることとなり、その時価200万円にかかる法人税の負担が発生します。
そして、その車は時価の200万円で購入したものとして耐用年数の期間にわたって経費となります。

さらに!もらう会社の株主もこんなことに!

もらう会社が同族会社のときは、その会社の株式価額が増加したとして、その増加した金額に対しての贈与税が課税されることになり、株主にも税負担が生じることになります。

結果

会社にとって節税効果は全くなく逆に初年度に一時的に納税が発生し、その後徐々にそれを取り戻すというることになります。

買取りによる名義変更の手続きと注意点

個人で所有している車を会社名義に変更する手続きは、新しい所有者である会社の住所を管轄する「運輸支局や自動車検査登録事務所」にて行う必要があります。
そして、手続き前と後にそれぞれ重要な注意点が下記の2点ありますので、事前に必ず確認してください。

車庫証明書の入手【手続き前】
車の保駐車場が、車を使用する会社から直線距離で2キロメートル以内にある必要があります。
したがって、今まで自宅で車庫証明書を取っていた場合には、新たに会社近くの駐車場を会社名義で借りて、管轄の警察署で車庫証明を申請しないと名義変更はできませんので注意してください。
自動車保険の切り替え【手続き後】
万が一の事故を起こしたときに、保険がおりない!
ということが決してないように、会社名義に変更した車の保険も変更の手続きが必要となります。
ここで問題となるのが、個人で今まで無事故で保険料の割引となっている等級の引き継ぎ
法人名義の車でも、契約者を個人のままで自動車保険に加入できますが、契約者を会社として変更するときは、個人からの等級引き継ぎは社長などの会社の代表者に限られますので注意が必要です。
さらに、最近人気のダイレクト自動車保険会社では、法人契約自体がないケースや、法人への等級(割引・割増)の引き継ぎ条件が1年以内に設立された新設法人のみであったり、ロードサービスが受けられないなどがありますので注意がしてください。

名義変更の手続き

自動車検査登録事務所へ名義変更の手続きには、下記の費用と書類が必要となります。
なお、ナンバープレートに変更がある場合は、ナンバープレートの封印を受ける必要がありますので、当日はその車に乗って行く必要があります。

手続きに必要な費用

  • 移転登録手数料500円
  • 車庫証明書の取得費用(所轄警察署)2,500円~3,000円程度
  • ナンバープレート代(変更がある場合)1,440円
  • 自動車取得税 詳細は下記参照

手続きに必要書類一式

  1. 手数料納付書
  2. 自動車税・自動車取得税申告書
  3. 申請書(OCR第1号様式)
  4. 車検証(車検が切れていないもの)
  5. 新使用者(会社)の車庫証明書(発行日からおおよそ1ヵ月以内のもの)
  6. 譲渡証明書(旧所有者の実印の押印があるもの)
  7. 旧所有者の印鑑証明書(発行日から3ヵ月以内のもの)
  8. 新所有者の印鑑証明書(発行日から3ヵ月以内のもの)
  9. 委任状(旧所有者や新所有者の実印の押印があるもの)
  10. 株主総会議事録又は取締役会議事録(自動車を購入することが利益相反取引に該当する場合)

自動車取得税とは

自動車取得税とは、売買などで自動車を取得した取得者に対して課税される税金です。
相続による名義変更の場合には課税されないほか、
課税標準額が50万円以下の金額の場合には、自動車取得税は課税されません。

自動車取得税の計算
 課税標準額 × 税率 

【参考】
自分自身が今乗っている昨年新車購入したトヨタのアルファードを今月名義変更した場合の自動車取得税の計算してみましたが、結果は約11万円となりました。

課税標準額

課税標準額は、車種のグレードや年式ごとに決められている評価額で、「自動車取得税の課税標準基準額及び税額一覧表(財団法人地方財務協会:有料発行)」というものに記載されています。
ヘルムジャパン株式会社という会社さんが無料で自動車取得税の計算ができるツールを公開されています。

【自動車取得税計算ツール(ヘルムジャパン株式会社)】
http://tax.helmjapan.co.jp/gtax.cgi

自動車取得税の税率
区分 税率
自家用自動車 軽自動車以外 3%
軽自動車 2%
営業用自動車 2%

その他「電気自動車、ハイブリッド自動車など燃費性能の優れた自動車」については税額軽減があります。

自動車取得税は廃止の予定

平成31年10月、消費税が10%に引き上げられると同時に、自動車取得税は廃止される見込みです。
『これで名義変更の費用が大幅に減る!』
と思いきや、自動車取得税の廃止と同時に、新たに税率0~3%の「環境性能割(燃費課税)」の導入がしっかりと予定されています。

編集後記

中小企業であれば会社のお金で経営者が自分の車を購入することは珍しくありません。
むしろ、よくあることです。
しかし、あかの他人である従業員を雇って事業展開をしている会社の代表者による「節税のための公私混同」は、社員のモチベーションが下がる大きな原因となってしまいます。
主要ポストの社員のやる気の低下は、会社内で病気のようにジワジワと広がり、人手不足の現在では様々なものに影響することになってしまいます。
特に社員などの人材が命のマンパワーの業界は注意が必要です!
今までの経験上、代表者の方が「公私混同の節税」などはあまり考えずに「会社の経営を伸ばす方」に注力した方が、結果として業績が伸びて、社長の取り分を増やすことにつながっていることが多いように感じています。

最後に、当事務所では「買取りによる自動車の名義変更手続き代行サービス」は承っていませんので、ご承知おきください。
(相続による自動車の名義変更手続きは【相続税申告サービス申込者限定】で代行しております)

投稿者プロフィール

東京パトレ
東京パトレ
東京神田で税理士・行政書士として中小企業の方やフリーランスの方などに「各種税金の申告業務」のほか「税務相談」「開業支援」「会計ソフト指導」「WEB関連支援」などの仕事をしています。『役に立つ税金情報』を中心に『日々の仕事上で気になったこと』など「お金にまつわる情報」を中心に執筆しております。