東京都は平成30年7月9日より通勤ラッシュの混雑緩和を目指し官民で時差出勤を試行する「時差Biz(ビズ)」というキャンペーンを始めており、今月の8月10日に終わるそうです。
昨年もやっていたとは知りませんでしたが、今年は実施期間を約1カ月と2週間延長し、PRムービーでも坂本龍馬をイメージしたものを作成したり、各駅にはポスターのほか、写真のような専用端末が設置されたりと、今年度の時差Biz関連の東京都予算は9,000万円で、昨年度の6,000万円にくらべて、およそ1.5倍の税金を投入してのキャンペーンのようです。
ちなみに、出社時間を通勤のピークから前倒しするというのがこのキャンペーンの目的で、私のような出社時間を通勤ピークの後にずらして出社している人のための施策では無いようです。
時差Biz(ビズ)とは
さて、東京23区内に勤めている人でも知らない人も多いと思いますが、この「時差Biz(ビズ)」とは何でしょうか。
参加企業
東京都に本社が所在する企業や自治体の約750社(開始時現在)
参加鉄道会社
東京都と連携する鉄道会社11社(東京メトロのほか私鉄各社)
時差Biz(ビズ)のメリットは?
快適な通勤により、働く意欲の向上につなげるのが目的とのことです。
以下「公式サイト」より転載
【個人のメリット】
- 満員電車の回避→通勤でのイライラの解消!
- 通勤時間の有効活用→空いた電車でメールや新聞のチェック!
- プライベートの充実→朝早く出勤して夕方は早く帰宅、遅め出勤なら朝の時間に趣味や家族のコミュニケーションに!
【参加企業様のメリット】
- 従業員の働く意欲や生産性の向上→快適な通勤で従業員のストレス軽減!仕事の生産性もアップ!
- 本ホームページへの貴社名掲載→お申込みをいただくと、即座に参加企業一覧に貴社名・業界名を掲載!
鉄道会社の取り組み
- 期間中の平日早朝の時間帯に1本~3本の臨時列車を運行する。
- クーポンやプレゼントなどの実施(以下一例です。)
JR東日本
マクドナルドと共同し、山手線エリア内のマクドナルド64店舗で早朝利用可能な早朝限定クーポン(Sドリンク無料など)を配布
東京急行電鉄
スマートフォン向けのアプリでキャンペーン登録し、早朝の渋谷駅の利用者にはコンビニエンスストアで使える飲み物の割引券やクーポンがもらえるサービスの実施
京王電鉄
新宿駅と渋谷駅の専用端末にPASMOをタッチするとグループ共通ポイントをプレゼント
参加企業側の取り組み(例)
- 全社員の始業時間を1時間前倒し節電にも貢献
- Web会議の実施などにより在宅勤務の推進し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を推進
- サテライトオフィスを開設して柔軟な働き方に貢献
朝の時間を有効活用できるのは働く側としてはとてもメリットを感じますが、東京都の側からすると「オリンピックに向けた混雑対策」、鉄道会社側からすると「通勤ピークに合わせた設備投資の削減」が本音ということのようです。
効果の検証をはっきりと
通勤ラッシュが嫌いな私としては、このような取り組みは、仮に小池都知事が環境大臣時代に行った「クールビズ」に続く政治的なパフォーマンスだとしても、働く側として色々な働き方ができる選択肢が増えるというワークスタイルの改善は、これからの時代にあった政策だと思います。
ただし、個人としても法人としても東京都に税金を納めている納税者としては、その効果を検証するため今回予定されていない「大々的な乗車率測定」などを行い、首都圏の電車通勤の様子がどれだけ変わったのか、効果測定をしてPRしてほしいと思います。
遅い時間に通勤電車で帰宅する私は、時々「最近帰りの電車が少し空いているな」と感じたりもしていますが、それはこの「時差Biz(ビズ)」のおかげで早く帰宅する人が増えているのか、最近の「猛暑」で外出する人が減っているのか今一つ確信が持てません。
「普段より1時間以上も早く出勤しないと効果をまったく感じられない」という話や「子供の送迎時間は前倒しになっていないので保育園が受け入れてくれない」などの話もあるようですが、このキャンペーンをはき違えた企業では『早く来て遅く帰る』を暗に推奨しているなんて話もあるようです。
投稿者プロフィール
- 盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)
「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。