代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2021.10.25

生涯現役の社長は年金も生涯まともにもらえない!?という悲しいお話

年金の受給開始年齢の3カ月ほど前になる頃、日本年金機構から「年金請求書」という年金を受け取るための封筒が送られてきます。

よし!今まで沢山払ってきた年金をやっともらえる!

そう思った現役で働いている方は、年金をもらう手続きをしようとすると、給与を一定金額以上もらっているという理由で、本来受け取ることができる年金の一部又は全部が『支給停止(カット)』となってしまうことがあります。

今回は、働きながら年金をもらうことを考えている方やすでにもらっている方に向けて、年金の基本的な仕組みと年金の支給停止について解説します。

年金制度はとても細かく、複雑怪奇とも言われますが、なるべく簡単にわかりやすいように、ざっくりとした説明となっていますので、ご承知おきの上でお読み下さい。

更新情報(2021年4月8日)

平成31年4月1日より年金の支給停止の基準となる額が変更となりましたので、更新しました。
(支給停止調整変更額 46万円→47万円)

年金のざっくりとした仕組み

日本の公的年金制度は、3階建ての建物に例えられます。

日本の公的年金制度

1階部分(基礎年金)

基礎年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入する保険で、10年間以上の年金保険料を納めることにより、原則65歳以降に受け取りができる年金です。

2階部分(厚生年金)

厚生年金とは、会社員や公務員の方が加入する保険で、給料から天引きされることにより保険料を納めております。

3階部分(企業年金や国民年金基金など)

企業年金とは、自分が勤めている会社が独自の企業年金制度を設けていれば強制的に加入する保険です。
国民年金基金とは、主に自営業者などが国民年金とは別に任意で国に納める制度です。
そのほか、確定拠出年金があります。

年金は何歳から受け取れる?

公的年金の受給開始年齢は、原則65歳からです。
以前は60歳から支給されていた厚生年金ですが、現在では支給年齢が段階的に引き上げられ、男性は昭和36年4月2日以降に生まれた方女性は昭和41年4月2日以降に生まれた方は、全額65歳からの支給となっています。

年金の受給開始年齢早見表

年金を早く受け取る・遅れて受け取る

年金を満額受け取れるのは原則として65歳からですが、繰上げ請求や繰り下げ請求を行なうことで、60歳からの支給、または70歳からの支給とすることも可能です。

  • 繰上げ受給した場合・・・1ヶ月につき0.5%ずつ減額されます
  • 繰下げ受給した場合・・・1ヶ月につき0.7%ずつ増額されます
繰り上げ繰り下げ年金

年金の支給停止

公的年金を受給しながらお給料をもらって働く方を対象に、そのお給料の金額によって年金が減額されたり、支給停止になってしまったりという悲しい制度があります。

1階部分の基礎年金については、給料いくらもらっても支給停止になることはありませんが、2階部分の厚生年金の部分については、もらっているお給料(総報酬月額相当額)によっては、支給される年金が減額されたり、全額が支給停止になります。

その支給停止の判定は、老齢厚生年金の「基本月額」と給与金額である「総報酬月額相当額」によって計算します。

  • 「基本月額」→ 老齢厚生年金の月額
  • 「総報酬月額相当額」→ その月の標準報酬月額と直近1年間の標準賞与額を12で割った金額

60歳以上65歳未満の方(28万円基準)

『基本月額と総報酬月額相当額の合計額』28万円以下の場合には、支給額の減額や支給停止はありませんが、それを超えると超える金額が増えるごとに年金の支給額が減額されてしまいます。
(引用:日本年金機構HPより)

65歳以上の方(47万円基準)

『基本月額と総報酬月額相当額の合計額』が、47万円以下の場合には、支給額の減額や支給停止はありませんが、それを超えると超える金額が増えるごとに年金の支給額が減額されてしまいます。
(引用:日本年金機構HPより)

この記事は、執筆日現在の法令などに基づくものであり、その後の法改正によるアップデートは原則としてしておりません。

編集後記

生涯現役!死ぬまで働く!とお考えの中小企業の社長さんもいるかと思います。

そんな現在全額支給停止となっている社長さんから先日「今までたくさん払ってきた保険料に見合う年金はいつになったらもらえるようになるの?」 とのお言葉・・・

跡継ぎのいないその社長さんには、現在のお給料を払えないような状態に会社の業績が悪化するか、会社を清算して個人事業として事業を行うまでは、現在の月65,000円の年金のままです。社長さんに万が一のことがあったら遺族年金として奥様がその一部をもらえることにはなりますが…と答えるしかありませんでした。

少子化が進み平均寿命が延びている現在の日本の年金制度の危機が叫ばれていますが、この厚生年金部分の支給停止の対象年齢を70歳以上の人にも広げた平成16年の年金改正法のときのように、将来国が財政難などを理由に、この支給停止の計算式をチョット改正して、働いている人はいつまでも年金をもらえないようになんて制度には、決してなりませんように願うばかりです。

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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