色々な中小企業のリアルの経営成績である経理の数字を、毎日のように見る機会が仕事柄あります。

その会社の数字について、今月の業績が「上がった」「下がった」などを毎月報告するのですが、ついつい「売上高」ばかりに注目がいきがちになりますが、業績にとても影響するのが「原価率(⇔売上総利益率)」というものです。

原価率とは

まずは簡単に説明から。
専門用語で難しく説明すると、原価率とは「商品やサービスのために直接必要とした経費の割合」をいいます。
あくまでも「直接必要とした経費」なので、販売するためにかかった人件費などの経費は入りません。

計算式

原価率=売上原価÷売上高
(参考)売上総利益率=1-原価率

簡単な計算例

70円の商品を仕入れて100円で売った場合には「70%(70円÷100円)」となります。

また、原材料を仕入れて人件費などをかけて80円の商品を作り、100円で売った場合には「80%(80円÷100円)」となります。

原価率は業種や会社によって全然違うもの!

さて、ここから本題ですが、
原価率は、業種業態や会社の規模だけではなく、当然ですが会社によって、それぞれ異なります。

自分自身も以前よりとても気になっていましたので、この機会に、有名上場企業を時間かけて調べてみましたので、その中からいくつかをピックアップします。

小売業や外食産業の原価率

セブン&アイHD

セブンイレブン・イトーヨーカドーなどの総合スーパー

(2019年2月期)

原価率

64.96%

売上高

6.7兆円

イオン

総合スーパー(2019年2月期)

原価率

63.72%

売上高

約8.5兆円

ファーストリテイリング

ユニクロの店舗経営(2018年8月期)

原価率

50.7%

売上高

2.1兆円

日本マクドナルドHD

マクドナルドのハンバーガーチェーン(2018年12月期)

原価率

80.46%

売上高

2,722 億円

自動車メーカーの原価率

トヨタ自動車

売上高世界NO.1自動車メーカー(2018年3月期)

原価率

76.92%

売上高

30.2兆円

本田技研

売上高世界6位自動車メーカー(2018年3月期)

原価率

78.12%

売上高

15.3兆円

日産自動車

売上高世界10位自動車メーカー(2018年3月)

原価率

82.12%

売上高

11.9兆円

驚きの高利益率の優良企業の原価率

キーエンス

検出・計測制御機器大手(2018年3月期)
売上高経常利益率が53.1%というモンスター企業

原価率

17.88%

売上高

5,870億円

武田製薬工業

日本首位の製薬会社(2019年3月期)

原価率

31.46%

売上高

2兆円

注意

上記数字は、いずれも上場企業である大企業のものであり、関係会社などの他の業態でのビジネスも含めた「会社全体の数字」であることをご承知おきください。

原価率についての感想(まとめ)

大手のスーパーなどの小売業は「 60~65%」で、ユニクロの原価率は「50%」だったのですね。

飲食業の原価率は、一般的に「40~45%」と言われている中、マクドナルドの原価率が「80%」と想像以上に高かったのが驚きです。
(店舗製造なので家賃や人件費なども原価計算に含まれているかとは思いますが…)

昔から原価率の違いが経営力の違いと言われている自動車メーカーを改めて確認してみたところ、全くその通りという結果に…

大手の製薬会社は、薬の開発費が莫大と言われますが、他の製薬会社も調べたところ、原価率はおおよそ30%でした。

原価率を下げるため最近増えている実質値上げ

ここ最近、商品の分量を変えることができない商品を中心に、値上げのニュースをよく見ます。
(自分がよく行くカレーチェーン店も、ここ数年で何度も値上げされています…)

そんな中、流通過程での問題を理由に、商品の価格を据え置いたまま容量を減らすなどの「実質値上げ」「隠れ値上げ」「ステルス値上げ」と呼ばれるものが増えています。

とあるメーカーの牛乳のように、内容量が1,000ml→900mlへなるものや、最近SNS上で話題になった自分もよく買う「セブンイレブンのいなり寿司(3個入り186円)→(2個入り190円)」の2019年5月からの変更。

昔からよくある実質値上げですが、最近ではSNS上ですぐに話題となってしまう時代ともなりました。

最後に「中小企業の経営者の方」へ

会社の業績を良くするためには、下記の3つの方法があります。

  1. 売上を伸ばす
  2. 経費を減らす
  3. 原価率を下げる

「売上を伸ばす」「経費を減らす」という努力は、すでにしている方は多いと思いますが、「原価率を下げる(上げない)」という大切な対策を、日頃からしていない中小企業がとても多いのが実情です。

値上げや経費の削減が難しい中小企業にとって、とても大切なことです。

具体的な原価率の対策の方法は、業種や会社によって異なりますが、一般的な方法として、下記のものがあります。

社内での検討はもちろんのこと、一緒に検討する社員がいない会社の経営者の方は、税理士などと年に1度でも、定期的に検討することをオススメいたします。

  • 仕入業者との価格交渉や購入条件の見直し
  • 在庫管理の徹底(不良在庫の売却やデッドストックの見える化など)
  • 儲けの少ない原価率の高い商品の販促の中止

この記事は、執筆日現在の法令などに基づくものであり、その後の法改正によるアップデートは原則としてしておりません。

編集後記

顧問先の法人の経営者の方との打ち合わせの際に、「うちも値上げしようかな?」「仕入先より値上げの案内が来た!」とのお話が最近よくあります。

特に一般消費者がお客さんである小売業の方は、10月より予定されている消費税の増税をあわせると、かなりの値上げとなり「お客離れ」の原因にもなりますので、慎重な検討が必要です。

ちなみに「実質値上げ」を10年に渡り4度も実施した江崎グリコのドロリッチというコンビニでも売っていたデザート飲料の先駆け商品。
価格150円据え置きのまま
[2008年]220g
[2014年]200g
[2015年]180g
[2017年]120g へと変更

いろいろな原因もあるかとは思いますが、2019年3月をもって生産終了とのことです。

投稿者プロフィール

盛永 崇也
盛永 崇也
東京神田で税理士・行政書士として中小企業の方やフリーランスの方などに「各種税金の申告業務」のほか「税務相談」「開業支援」「会計ソフト指導」「WEB関連支援」などの仕事をしています。『役に立つ税金情報』を中心に『日々の仕事上で気になったこと』など「お金にまつわる情報」を中心に執筆しております。