代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2021.10.25

「働き方改革」の中小企業への有給休暇や残業時間、残業単価などの影響を時系列に解説!

ニュースなどで報道されて知っている方も多いかと思いますが、今年(2018年)の6月19日に「働き方改革関連法」が成立しました。

これにより、「時間外労働の上限規制」や「年5日の年次有給休暇取得の義務化」など、近い将来中小企業にとっても影響を及ぼすもののほか、「高度プロフェッショナル制度」「同一労働同一賃金」などの改正項目が含まれています。

この法改正の内容のほか、つい最近発表された「平成30年度の最低労働賃金の引き上げ」も含めて、今回は中小企業の方を対象として、特に影響があるものを中心に、施行日が近いものから順番に、出来る限りわかりやすくまとめてみました。

会議室

2018年10月より施行

最低労働賃金の引き上げ

今年も厚生労働省より「最低労働賃金」の引き上げが発表されました。

今回は過去最高の引き上げ幅で、全国平均で26円(3%)の引き上げとなりました。

ちなみに一番高いのは、東京都で985円となり、 一番低いのは鹿児島県で761円となっております。

来年の東京都は、とうとう大台の1000円を超える可能性が出てきました。

平成30年度地域別最低賃金改定状況

(出典:厚生労働省HP)
最低労働賃金

2019年4月より施行

年5日の有給休暇の取得の義務化

「年間10日以上の有給休暇が与えられる労働者」は、その年に与えられた有給休暇のうち「年間5日の有給休暇」を消化しないといけないことになりました。

罰則規定も新設され、もし違反すると「30万円以下の罰金」となります。

そして、会社は有給休暇の取得状況を把握するために、「有給休暇の取得管理簿」を作成し、3年間保存しなければならないことになっていますので、この点にも注意が必要です。

そもそも有給休暇制度とは?

有給休暇とは、 会社の休業日以外で、労働者の意思により会社を休むことができる日のうち、賃金が支払われる(有給)のものをいいます。

その有給休暇は、正社員だけでなく、パート・アルバイトであっても、『次の表』に基づき、従業員に対して有給の休暇を付与することが、労働基準法で義務づけられています。

正社員(フルタイムの労働者)

勤続6ヶ月を超えると年間最低10日(以後1年毎に1日加算して最大20日)

パートタイム労働者(週4日以下かつ週30時間未満の労働者)

年間最低1日~最高15日

有給休暇の付与日数
(出典:厚生労働省HP)

2020年4月より施行

時間外労働(残業時間)の上限規制の導入

とても複雑で、わかりづらいのですが、できる限りカンタンに説明します。

施行前(今まで)

時間外労働(残業時間)については、原則として45時間が上限とされていますが、会社と労働者が36協定(時間外労働に関する労使協定)を結ぶときに「特別条項」という項目を設けることによって、一時的に需要があるときなどには、45時間を超えた残業を行わせることができ、違反した場合には「行政指導」はありましたが、実質的に法律上「残業時間の上限」がありませんでした。

施行後(今後は)

時間外労働の上限を定めて、特別な事情がある場合を除き、次の時間を超える残業はできなくなります。

罰則規定も新設され、もし違反すると「6ヶ月以上の懲役または30万円以下の罰金」となります。

原則
  • 月45時間まで
  • 年間360時間まで
例外(一時的に需要がある場合など特別な事情があるときに労使が合意する場合)
  • 月100時間まで
  • 複数月(2ヶ月から6ヶ月)の平均80時間まで
  • 年間720時間まで
※突発的や一時的なものであっても、常軌を超えることは認められません。
※ 原則の月45時間を超えることができるのは、年間6ヶ月まで
※建設業や自動車運転業などの一部の事業や業務については、猶予や除外があります

2023年4月より施行

月60時間を超える残業の割増賃金の猶予措置廃止

中小企業限定で猶予されていた「月60時間を超える残業の割増賃金率」の措置が廃止になったことにより、下記の表の通り「25%」→「50%」となります。

月60時間ということは、1ヶ月20日勤務を前提にすると、1日当たり平均して3時間を超える残業をするときは、残業計算の時給単価が今までよりも跳ね上がるということになります。
割増賃金率

ここでいう中小企業とは

「中小企業」の定義は、法律によりそれぞれ異なるのですが、今回の説明での「中小企業」とは、下記の定義となりますので、参考にして下さい。

中小企業の定義
(出典:厚生労働省HP)

この記事は、執筆日現在の法令などに基づくものであり、その後の法改正によるアップデートは原則としてしておりません。

編集後記

最近起こった「大型台風による関西地方への被害」や「北海道胆振東部地震」がニュースなどで報じられています。

首都圏では幸い影響はありませんでしたが、『万が一のときの備え』の重要性を考えさせられます。

例えば、特に最近「プライベートの買い物」だけでなく「ビジネスでの経費支払」でも『キャッスレス』をすすめており、財布の中にあまりお金を入れていませんが、停電でATMやレジも止まったとき本当に大丈夫か?と改めて不安に。

事務所に「避難用袋」と「最低限の飲み物と食料」は用意してありましたが、今回「それなりの小口現金」も置いておくようにした方が…と早速用意しました。

東日本大震災から7年が過ぎましたが、死者33万人と想定されている「南海トラフ巨大地震」が30年以内の発生確率が70%~80%とのこと。

先日も同業の知人との食事の席で「もし巨大地震が起こり生き残ったとき」の金銭的な備えは何が必要?という話に。

「モノ不足で激しいインフレになるので、住宅ローンは無理して繰上返済しない方がいい」
「通貨危機になるので、銀行預金円ではなく外貨預金にしておいた方がいい」
「財産の一部を金(キン)などの守りの投資に振り向けておいた方がいいい」
「いやいや守りと攻めも兼ねた外国株式投資がいい」
と様々な意見が飛び交っていました。

皆さんは、経済被害が1,000兆円を超える巨大地震が起きたときの金銭的なリスクヘッジは考えたことありますか?

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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