家賃支援給付金の申請は終了しております【令和3年(2021年)1月15日終了】
5月頃にすでに発表されていましたが、新型コロナ感染症対策の一つである『家賃支援給付金』の詳細が2020年7月7日に発表され、給付申請の受付が2020年7月14日(火)から開始される予定開始されました。
今回の『家賃支援給付金』は、一定割合の売上が減少した事業者に対して、地代家賃の負担を軽減する目的として、借主である事業者に給付されるものです。
今回は、この『家賃支援給付金』について、本日(7/10)現在で公表されている約170ページにも及ぶ『申請要項』を、注意点なども含めて、なるべく分かりやすくまとめてみました。
なお、不正受給防止の観点から、給付を受ける申請者(借主)とともに「貸主(大家)又は管理業者」にも、家賃支援給付金の支給が決定した後に、振込通知ハガキが同時に送付されます。
公式サイト
未公表(執筆日現在) → 公式サイト公表(2020年7月14日)
家賃支援給付金の公式サイト(家賃支援給付事務運営コンソーシアム)
https://yachin-shien.go.jp/index.html(受付終了につき閉鎖)
対象者(2つの要件)
要件1(対象者)
2019年以前から事業収入があり、今後も事業を継続する意思がある下記の事業者のうち、他人の土地や建物を事業のために借りて賃料の支払いを行っているもの
(資本金等の定めがない法人は従業員が2,000人以下)
※持続化給付金とほぼ同じ条件です
- 性風俗関連を行う法人
- 公共法人・政治団体・宗教組織団体など
- 性風俗関連を行う個人事業主
- 政治団体・宗教組織団体など
要件2(売上減少)
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、下記のいずれかに該当すること
- 2020年5月~12月の『いずれか1ヶ月の売上』が『前年の同じ月の売上』と比較して50%以上減少
- 2020年5月~12月の『連続する3ヶ月の売上の合計』が『前年の同じ期間の売上の合計』と比較して30%以上減少
給付される金額(給付額)
法人
「申請日の直前1ヶ月以内に支払った賃料」が75万円以下の場合
支払賃料 ✕ 2/3 ✕ 6ヶ月分
「申請日の直前1ヶ月以内に支払った賃料」が75万円を超える場合
(75万円 ✕ 2/3 ✕ 6ヶ月分)+(75万円を超える金額 ✕ 1/3 ✕ 6ヶ月分)
(最大600万円上限)
個人事業者
「申請日の直前1ヶ月以内に支払った賃料」が37.5万円以下の場合
支払賃料 ✕ 2/3 ✕ 6ヶ月分
「申請日の直前1ヶ月以内に支払った賃料」が37.5万円を超える場合
(37.5万円 ✕ 2/3 ✕ 6ヶ月分)+(37.5万円を超える金額 ✕ 1/3 ✕ 6ヶ月分)
(最大300万円上限)
給付額の具体例(月額賃料が30万円の場合)
30万円 ✕ 2/3 ✕ 6ヶ月分 = 120万円
給付額の算定の基礎となる契約・費用とは?
2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約あり、申請日より直前3ヶ月間の賃料の支払実績があることが必要です。
ただし、下記のいずれかに当てはまる契約は申請できません。
- 又貸し(転貸を目的とした契約)
- 自己取引(貸主が借主の代表取締役である場合などの借主と貸主が実質的に同じ人物である契約)
- 親族間取引(貸主と借主が配偶者又は1親等以内の契約)
賃料の対象のもの
- 賃料
- 共益費・管理費(契約書に明記のある場合のみ)
賃料の対象とならないもの
- 更新料や礼金
- 敷金や保証金
- 水道光熱費
- 保険料
- 看板料金など
注意点
- 2020年4月以降に賃料の変更があった場合には「2020年3月31日現在の賃料」と「申請日1ヶ月以内に支払った賃料」のいずれか低い金額となります
- 地方公共団体から家賃支援金を受給している場合には、減額される可能性があります
- 個人事業主などの住居兼事業所については、事業用として税務申告している部分のみが対象となります
特例計算
上記の原則的な計算のほかに、下記の給付額の計算に関する特例があります。
法人の場合
- 創業特例(2019年5月~12月までの間に設立した法人)
- 季節性収入特例(月当たりの事業収入の変動が大きい法人)
- 合併特例(事業収入を比較する2つの月の間に合併を行った法人)
- 連結納税特例(連結納税を行っている法人)
- 罹災特例(2018年から2019年に発行された罹災証明書がある法人)
- 法人成り特例(事業収入を比較する2つの月の間に個人事業者から法人化した法人)
- NPO法人や公益法人等特例(特定非営利活動法人及び公益法人等に対する特例)
個人事業主の場合
- 新規開業特例(2019年5月から12月までの間に開業した場合の特例)
- 季節性収入特例(突き当たりの事業収入の変動が大きい者に対する特例)
- 事業承継特例(事業収入を比較する2つの月の間に事業承継を受けた者に対する特例)
- 罹災特例(2018年から2019年に発行された罹災証明書がある者)
申請受付期間
「2020年(令和2年)7月14日」~「2021年(令和3年)1月15日」までの約6ヶ月【執筆日現在】
申請方法
WEB申請(ネット申請)のみ
必要書類
各データの形式は「PDF・JPG・PNG形式のみ」で、ファイルサイズは10MB以下
法人の必要書類
誓約書(指定用紙・代表者自署)
フォーマット用紙(公式サイト)
https://yachin-shien.go.jp/docs/pdf/format_pledge.pdf(受付終了につき閉鎖)
2019年の「法人税の確定申告書の別表一」の控え(1枚)
- 窓口提出や郵送提出の場合には、収受印が押印されているもの
- E-taxによる電子申告の場合には「メール詳細(受信通知)」を別途添付が必要
「法人事業概況説明書(表と裏)」(2枚)
- 法人税の申告書と同時に税務署に提出したもの
法人名義の振込口座の通帳の写し
- 預金通帳の場合には、「表面」と「通帳を開いた1ページ目」の2枚
- ネットバンキングなどの場合には、口座番号が分かる部分の画像データ
売上減少となった対象月又は対象期間の売上台帳の写し
- 会計ソフトの売上データ(総勘定元帳)
- エクセルで作成した売上データ(売上台帳や元帳)
- 手書きの売上帳のコピー
- 法人事業概況説明書
賃貸借契約書の写し
- 賃貸借契約書に記載されている名称が異なる場合などには、別途書類が必要
直前3ヶ月間の賃料の支払実績を証明する書類(下記の書類のいずれか)
- 銀行通帳の表紙の写しと支払実績がわかる部分を写し
- 振込明細書
- 貸主からの領収書
- 所定の様式による賃料を支払っている旨の証明書(公表予定)
その他
「証拠書類等に関する特例」や「給付額の計算に関する特例」の適用を受ける場合には、それぞれ下記の書類が別途必要になります。
- 履歴事項全部証明書
- 罹災証明書
- 法人設立届出書
- 個人事業の開業・廃業届出書
- 罹災証明書など
個人の必要書類
誓約書(指定用紙・本人自署)
フォーマット用紙(公式サイト)
https://yachin-shien.go.jp/docs/pdf/format_pledge.pdf(受付終了につき閉鎖)
2019年分(令和元年分)の「所得税の確定申告書の第一表」の控え(1枚)
- 窓口提出や郵送提出の場合には、収受印が押印されているもの
- E-taxによる電子申告の場合には「メール詳細(受信通知)」を別途添付が必要
「所得税青色申告決算書」の控え(青色申告の場合のみ:2枚)
- 青色申告の場合のみ
- 白色申告の場合には不要(ただし、判定計算が異なります)
振込口座の通帳の写し
- 預金通帳の場合には、「表面」と「通帳を開いた1ページ目」の2枚
- ネットバンキングなどの場合には、口座番号が分かる部分の画像データ
身分証明書の写し(住所・氏名・明瞭な顔写真がある下記の種類のうちいずれか1つ)
- 運転免許証(両面)
- 個人番号カード(表面のみ・紙の通知カードは不可)
- 写真付きの住民基本台帳カード
- 住民票の写しとパスポート(両面)
- 住民票の写しと健康保険証(両面)
- 在留資格者が確認できるカードや証明書(コピー)
売上減少となった対象月又は対象期間の売上台帳の写し
- 会計ソフトの売上データ(総勘定元帳)
- エクセルで作成した売上データ(売上台帳や元帳)
- 手書きの売上帳のコピー
賃貸借契約書の写し
- 賃貸借契約書に記載されている名称が異なる場合などには、別途書類が必要
直前3ヶ月間の賃料の支払実績を証明する書類(下記の書類のいずれか)
- 銀行通帳の表紙の写しと支払実績がわかる部分を写し
- 振込明細書
- 貸主からの領収書
- 所定の様式による賃料を支払っている旨の証明書(公表予定)
その他
対象月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告は完了していない場合など「証拠書類等に関する特例」や「給付額の計算に関する特例」の適用を受ける場合には、それぞれ下記の書類が別途必要になります。
- 住民税の申告書類の控え
- 2018年分の確定申告書類の控え
- 個人事業の開業・廃業届出書又は事業開始等申込書
- 罹災証明書など
申請の流れ
- 添付書類(証拠書類)を準備する
- 家賃給付金給付金の公式サイトにアクセスし申請
- 家賃給付金事務局で申請内容を確認
- 「家賃支援給付金の振込のお知らせ」を借主(申請者)と貸主(大家)に郵送後に、銀行口座に入金
終了
申請の注意点
家賃支援給付金は「税金の課税対象」となります!
法人や個人事業者が受け取るこの『家賃支援給付金』は、税金の課税対象となります。
毎月の固定経費がかかる中で、売上が半減し赤字が続いている事業者の方は、実質的に損失の補填ということになり、税金の心配はあまり必要ありませんが、
固定経費がかからない事業者の方は、支給された給付金は、実質的に売上として申告することになりますので、全額使ってしまうと、のちのちその分の税金を払わなければならないことになりますので、注意が必要です。
(特に、国民健康保険に加入している個人事業者の方は、影響が大きいのでご注意下さい。)
法人にかかる税金(課税対象)
・法人税及び地方法人税
・法人住民税及び法人事業税
※「消費税及び地方消費税(10%)」は課税対象外です。
中小法人の実効税率(約33%)がかかるので、120万円給付を受けると、次回の申告の際に約40万円の納付の負担が発生することになります。
個人事業主にかかる税金(課税対象)
- 所得税及び復興特別所得税
- 個人住民税
- 個人事業税
- 国民健康保険料
※「消費税及び地方消費税(10%)」は課税対象外です。
個人事業者にかかる税金や国民健康保険料は、その人の所得金額や市区町村により違いますが、
仮に、東京都千代田区にお住まいの所得税率が20%の方だとすると、所得税20%+住民税10%+個人事業税5%+国民健康保険料9%=約44%がかかるので、
120万円給付を受けると、来年の確定申告の後に、約53万円の納付の負担が発生することになります。
不正受給について
持続化給付金と同様に、提出された証拠書類等について不審な点が見られる場合には調査行うことがあるとのことです。
調査の結果、不正受給に該当する疑われる場合には、結構重い罰則がありますので、不正申請はやめましょう。
問合せ相談窓口
家賃支援給付金事業コールセンター
問い合わせ相談は、下記のコールセンターのみとなります。
0120-653-930(フリーダイヤル)
※ 申請サポート会場(予約制)を開設する予定ですが、会場などは2020年7月14日に公表予定済み
電話受付時間
【7月・8月】全日
8:30~19:00
【9月以降】日曜日~金曜日
8:30~19:00(土祝日を除く)
最後に
以上が、申請受付前の執筆日現在(2020年7月10日)の内容ですが、持続化給付金と同様に「2020年に創業された事業主」や「主な収入を雑所得や給与所得で確定申告した事業主」も給付の対象にする方向で検討しているとのことです。
後日変更があれば、その詳細を加筆又は詳細記事を執筆の予定です。
新型コロナ対策として「持続化給付金」に引き続き、この「家賃支援給付金」。
感染拡大が収まらない中、影響が続いている中小企業者にとっては、とてもありがたい制度です。
ただ個人的には、7月になり、やっと週末を仕事せずにゆっくり休める様になった中で、これからもうひと山という感じです。
投稿者プロフィール

- 盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)
「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。