代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2022.06.3

産休育休の給付金・社会保険料の免除の申請方法の全まとめ【申請用紙・支給金額・期間など】

人手不足のご時世の今、女性を戦力にしている会社がとても増えてきています。

また、とある国会議員のように、男性が育児休業するというニュースも出てくる時代となりました。

今回は、従業員の育児休暇や出産には、どのような給付金や免除の制度があるのか、すべてに関わる制度をまとめてみました。

産休・育休についての制度

従業員が育児休業を取得したとき

  • 育児休業給付金(ハローワーク)
  • 社会保険料の免除(年金事務所・健保組合)

従業員や配偶者が出産したとき

  • 出産育児一時金 (産科病院又は年金事務所・健保組合)
  • 出産手当金(年金事務所・健保組合)

育児休業給付金

育児休業により仕事を休んだ従業員について、育児休業中の人の生活を困らないようにするための給付金で、ハローワーク(公共職業安定所)に申請することで、雇用保険(国)から支給される給付金です。

条件

  1. 雇用保険に加入している従業員(自営業者や役員は対象外)
  2. 1歳未満の子供がいること(一定の条件により最大2歳まで延長あり)
  3. 育児休業取得前の過去2年間に、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
  4. 育児休業期間中に1ヶ月に10日以下しか働いていないこと、かつ、休業前の賃金の8割以下であること

育児休業給付金の支給額

「育児休業開始時賃金日額」 ✕「 支給日数」 ✕ 67%(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)

毎月の額面給与(通勤費込み)が20万円の方が10ヶ月間育児休業した場合

20万円 ✕ 67% = ¥134,000(毎月)
¥134,000 ✕ 10ヶ月 = 約¥1,340,000(支給総額)

毎月の額面給与(通勤費込み)が12万円の方が10ヶ月間育児休業した場合

12万円 ✕ 67% = ¥80,400(毎月)
¥84,000 ✕ 10ヶ月 = 約¥840,000(支給総額)

税金

育児休業給付金は非課税のため、所得税・住民税はかかりません。
(確定申告も不要です)

初回の申請方法

下記の提出書類を入手して記入後、添付書類とあわせて、ハローワークに提出するというのが流れになります。
通常は、会社にて申請手続きを行いますが、自分自身で申請することもできます。
その場合には、提出書類に会社の証明欄などがありますので、会社になるべく早めに産休予定を伝えましょう。

提出書類

  • 「休業開始時賃金月額証明書」
  • 「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」

添付書類

  • 「賃金台帳」又は「出勤簿」
  • 「母子健康手帳の写し」又は「住民票」
  • 「育児休業給付金を受け取るための受取口座通帳の写し」

申請時期

育児休業給付金は、2ヶ月ごとに申請する必要があります。
申請後に給付金が、本人の指定口座に振り込みされることになります。

提出書類の用紙

休業開始時賃金月額証明書(3枚複写の用紙となります)

育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書[白紙PDF]

初回2ヶ月分の申請期限は、育休開始から4ヶ月を経過する日の属する月の末日ですが、なるべく早めに申請しましょう。

産休育休の期間中の社会保険料の免除

被保険者が産休や育休をしている期間の社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)について、事業主が年金事務所や健保組合に申し出をすることによって、被保険者本人負担分と事業主負担分ともに免除されるという制度です。

「産前産後休業期間中の保険料免除」と「育児休業期間中の保険料免除」の2つの制度があります。

※「育児休業の保険料免除期間」と「産前産後休業の保険料免除期間」が重複する場合は、「産前産後休業期間中の保険料免除」が優先されます。

産前産後休業期間中の保険料免除

産前産後休業期間中「産前42⽇(多胎妊娠の場合は98⽇)~産後56⽇」のうち、妊娠又は出産を理由として働かなかった期間の社会保険料を免除する制度です。

免除期間

産休・育休ともに休業の「開始月」から「終了日の翌日が含まれる月の前月」までの社会保険料免除となります。(子が3歳に達するまで)

注意点

  • 役員の⽅も被保険者であれば対象となります。
  • 出産予定⽇と異なる⽇に出産した場合は、「産前産後休業取得者変更(終了)届」の届出が必要となり、変更後の休業期間について保険料が免除となります。
  • 終了予定⽇より前に産前産後休業を終了した場合は、「産前産後休業取得者変更(終了)届」の届出が必要となります。(出産予定⽇に出産した場合は届出不要)

申請方法

会社が「 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」を 年金事務所又は健保組合に提出します。

産前産後休業を取得したときに提出する書類

産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届(白紙PDF)
産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届(記入例/出産前)

出産後に提出する書類

上記の「産前産後休業取得者申出書」を提出後に、被保険者が出産予定日と異なる日に出産したときには産前産後休業期間に変更となり、事業主が「産前産後休業取得者変更(終了)届」を日本年金機構へ提出しなければなりません。
(当初の出産予定日通りに出産した場合には、提出の必要はありません)

産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届(白紙PDF)
記入例(出産予定日よりに出産した場合)
記入例(出産予定日よりに出産した場合)

育児休業期間中の保険料免除

育児・介護休業法に基づく育児休業制度を利⽤する場合(3歳未満の⼦を養育する場合)には社会保険料を免除する制度です。

免除期間

産休・育休ともに休業の「開始月」から「終了日の翌日が含まれる月の前月」までの社会保険料免除となります。(子が3歳に達するまで)

注意点

  • 役員の⽅で育児休業制度を利⽤できない場合は、被保険者であっても対象となりません。
  • 終了予定⽇より前に育児休業を終了した場合は、「育児休業等取得者終了届」の届出が必要となります。(終了予定⽇に終了した場合は届出不要)

「育児休業等取得者申出書」の用紙

「育児休業等取得者申出書(白紙PDF)」
「育児休業等取得者申出書(記入例)」

出産育児一時金

「健康保険加入者」又は「配偶者である被扶養者」が、妊娠85⽇(4カ⽉)以後に出産したときは、分娩費用の補助として「出産育児一時金」が⽀給されるという制度です。

出産育児一時金の支給額

一児につき42万円
(産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産や妊娠22週未満の出産・死産等の場合は40.4万円)

手続き

通常は「出産育児一時金の直接支払制度」を利用するため、病院へ申請書を提出するため、年金事務所などへの別途の申請は必要ありません。
(出産費用が出産育児一時金の額より少ない場合には、申請が必要です)

「出産育児一時金の直接支払制度」とは、出産育児一時金の支給が、直接医療機関等へ支払われるため、医療機関等の窓口で出産費用から差し引かわれるという仕組みです。

税金

出産育児一時金は、非課税のため、所得税・住民税はかかりません。

ただし、確定申告の際に「医療費控除」を受ける場合には、「出産育児一時金」は、「医療費を補てんする金額」として医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければなりません。

出産手当金

出産手当金とは「健康保険加入者である女性社員」が、被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかったときに、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として、健康保険から支給される手当金です。

なお、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。

支給対象期間

「出産日以前42日(多胎妊娠の場合は出産日以前98日)から出産の翌日以後56日までの範囲」のうち「会社を休んだ期間内に会社を休んだ日数分」が支給対象となります。

支給条件

被保険者が出産した(する)こと

被扶養者の出産は対象外です

妊娠4ヶ月(85日)以上の出産であること

早産・死産・流産・人工妊娠中絶も含まれます

出産のため仕事を休み、事業主から給与の支払いがないこと

短期間でも終了された日については、給料の額を問わず出産手当金は支給されません

出産手当金の支給額

「標準報酬日額の3分の2に相当する金額」 ✕ 「対象期間に会社を休んだ日数分」

標準報酬月額が20万円の方が、産前産後休業を98日取得した場合の支給額の計算例

20万円 ÷ 30日= ¥6,666(標準報酬日額)
¥6,666(標準報酬日額) ✕ 2/3 = ¥4,444(1日当たり金額)
¥4,444 ✕ 98日 = 約435,512円(支給額)

手続き

出産手当金の支給を受けるためには「出産⼿当⾦⽀給申請書」 を年金事務所又は健保組合に提出する必要があります。

「出産⼿当⾦⽀給申請書」 には、 受取銀行口座などの本人が記入する欄のほかに、医師が記入する欄、事業主が記入する欄があるため、早めに入手しておきましょう。

出産⼿当⾦⽀給申請書の用紙

出産⼿当⾦⽀給申請書(白紙PDF)

出産⼿当⾦⽀給申請書(記入例)

税金

出産手当金は非課税のため、所得税・住民税はかかりません。(確定申告も不要です)

この記事は、執筆日現在の法令などに基づくものであり、その後の法改正によるアップデートは原則としてしておりません。

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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