代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2021.10.26

領収書や請求書などの保存期間はいつまで?【法人・個人事業者】

【質問】領収書や請求書などの書類はいつまで保存しておけばいいの?

回答

会社などの法人や個人事業主によって異なります。さらに厳密には、会社の大きさや帳簿書類の種類によって異なります。

『大掃除などで、かさばって保管場所を取る領収書や帳簿書類を捨てたい』だけど、ちょっと心配。この様なときありますよね。今回はこのような質問をなるべくわかりやすく解説してみます。

領収書は7年保存しておけば大丈夫?

経理に関する書類は様々なものがあります。
領収書・請求書をはじめ会計帳簿・納品書・給与明細書・在庫の棚卸表など様々です。
そして、その保存に関する法律は会社法や税法だけでなく営む事業の種類などにより他の法律により決まりがあります。

細かい説明は要らないという方は、上の『ページ目次』から飛ばして「結論」をご覧下さい。

税法の保存期間

まずはじめに税務署に関係する税法から

法人の方

帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類を『7年間』保存しなければならないことになっています。

注意

平成20年4月1日以後に終了した欠損金(いわゆる赤字)の生じた事業年度についてはが『9年間』平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度については『10年間』に延長されています。

個人事業主の方

書類によって保存期間が異なります。

青色申告している方

帳簿や決算関係の書類、現金や預金の取引等に関係した書類は『7年間』、その他の書類については『5年間』保存となっています。

書類保存期間
帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)7年
決算関係書類(貸借対照表、損益計算書、棚卸表など)7年
現金預金取引等の関係書類(領収書、請求書、預金通帳など)
(前々年分の所得が300万円以下の場合は5年)
7年
その他の書類(見積書、注文書、納品書など)5年

白色申告している方

収入金額や必要経費を記載した帳簿は『7年間』、それ以外の帳簿・及びその他の書類(領収書や請求書など)は『5年間』保存となっています。

書類保存期間
法定帳簿(収入金額や必要経費を記載した帳簿)7年
その他に任意で作った帳簿5年
書類(領収書や請求書、納品書、送り状、棚卸表など)5年

いつから7年or5年なの?

法人の方

『その事業年度の申告書の提出期限の翌日』から7年間保存となっています。

具体的例

『2022年4月1日~2023年3月31日の事業年度の会社』とすると

『申告書の提出期限』は原則決算日より2ヶ月以内なので2023年5月31日となり

その翌日から7年間ということは、『2030年5月31日』まで保管して下さい。

個人事業主の方

『書類は作成又は受領した日の翌年3月16日』から5年間保存となっています。

具体的例

『令和3年分に作成又は受領したの帳簿書類(令和4年3月15日までに確定申告したもの)』とすると

その翌年である令和4年3月16日から5年間ということは『令和9年3月15日』まで保存して下さい。

 

会社法(旧商法)

書類保存期間
決算書(貸借対照表・損益計算書など)10年
総勘定元帳・補助元帳10年
預金通帳・請求書・領収書・納品書・棚卸表など7年

その他の法律

帳簿や書類の保存期間については、税法や会社法だけでなく、書類の種類や営む事業により他の法律に決まりがあります。

書類の種類

労働者名簿・タイムカードなどの退勤記録(労働基準法)

従業員の退職日や解雇日又は死亡日から3年間

雇用保険各種届など(雇用保険法)

従業員の退職日や解雇日又は死亡日から4年間

身元保証書、誓約書など(身元保証法)

従業員の退職日や解雇日又は死亡日から最長5年間

健康保険厚生年金各種届など(健康保険法・厚生年金法)

従業員の退職日や解雇日又は死亡日からより2年間

定款就業規則・社内規定・労働組合との協定書・雇用契約書など人事・労務管理で最重要な文書

原則永久保存が望ましい(法律などはありませんがのちのトラブルに備えて)

事業の種類によるもの

古物商(古物営業法)

古物台帳は、記載の日から3年間

不動産業(宅建業法)

各事業年度の末日から5年間(宅建業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間

薬局(薬剤師法や薬事法など)

各種届出書や書類(調剤済処方箋や記録簿)などの種類によって2年間から6年間

労働派遣業や貨物自動車運送業、旅館業・・・それぞれ営む事業に関係する業法により書類の保存期間が決まっています。

結論

領収書などの帳簿や書類の保存については、

  1. 税法と会社法の両方に保存期間が定められている(最長10年)
  2. 人事労務関係の書類は2年間〜5年間(但し従業員の退職日より起算)
  3. 各種業法で保管する書類が規定しているので確認が必要だが10年を超えるものはない

従って、わかりやくす結論を3つにまとめると

  1. 過去の決算書や各種社内規程など人事書類などは永久保存が好ましい
  2. それ以外全ての書類は最長でも10年間なので10年間保存すれば問題なし
  3. 個人事業主の方は7年間保存すれば問題なし

といったところになります。

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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