代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2021.10.25

マラソン日本記録1億円の手取り額と税金を税理士が計算してみました

東京マラソン

マラソン日本記録更新

2018年10月7日更新

2018年10月7日(日本時間)に行われた第41回シカゴマラソンにて、大迫傑(おおさこ すぐる)選手が、2時間5分50秒の日本記録を更新して3位に入賞しました。
この日本記録更新により、日本実業団陸上連合から1億円のボーナスが送られることに!

2018年2月26日更新

2018年2月25日に行われた東京マラソンで設楽悠太選手(東洋大学卒 現ホンダ所属)が日本新記録の2時間6分11秒で日本勢最高の2位に入り、日本記録更新しました。
それにより、日本実業団陸上連合から1億円のボーナスと東京マラソンの主催者から準優勝賞金400万円と日本新記録のボーナス500万円の合計900万円が贈られるとのことに!

1億円の賞金の手取額は?

下記に該当する野球などのプロ選手の賞金は、サラリーマンと同じように源泉所得税(10.21%~20.42%)を差し引いて、選手に支給することになっていますが、プロのマラソン選手は下記の対象に含まれていないので、源泉徴収はされずに、1億円が一旦「全額」本人に振り込まれることになります。
ただし、税金はかかりますので、翌年に確定申告をして納税をすることになります。

源泉徴収の対象となるもの

プロの野球選手・サッカー選手・テニス選手・プロレスラー・ゴルフ選手・プロボーラー・自動車レーサー・競馬の騎手・競輪選手・モーターボート選手

この1億円に税金はかかるの?

財団法人日本オリンピック委員会(JOC)加入団体の賞金ならば…

オリンピックやパラリンピックで1位から3位までに入賞した選手に対して、「財団法人日本オリンピック委員会(JOC)又は財団法人日本障害者スポーツ協会」が交付する報奨金については、金額の上限なく所得税が課されないこととなっています。

さらに、JOCに加盟している文部科学大臣が指定した一般社団法人又は一般財団法人(例えば財団法人全日本スキー連盟など)が、オリンピックで1位から3位に入賞した選手に交付する報奨金についても、JOCが交付する報奨金を目安に、金メダル獲得者は300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円を限度に所得税が課されないことになっています。

さて、今回の日本実業団陸上連合からの1億円は?

今回のマラソンの賞金・報奨金は、オリンピックとは関係ないため、所得税と住民税が課税されます。

仮に、2020年の東京オリンピックで選手が日本記録を更新した場合でも、日本実業団陸上連合は、財団法人日本オリンピック委員会(JOC)の加入団体ではなく非課税とはなりませんので、所得税と住民税が課税されることになります

さて税金はどれぐらい?

プロ契約を結んでいるスポーツ選手の賞金・年俸等は、「事業所得」という区分により課税され、自営業の売上と同様に必要経費を差し引いて税金がかかります。
プロ契約を結んでいない、いわゆるアマチュア選手の場合には、「一時所得」という区分により課税されることになります。
その選手が、どちらに該当するかによって、計算方法は異なり税金の金額は大きく異なります。

日本実業団陸上連合から1億円の税金を計算してみました

今回獲得した選手が、プロ選手(所属チームとプロ契約を結んでいる)とアマチュア選手(プロ契約がない)の2通りの税金を、他のスポンサー収入や必要経費(大会に出場するための費用など)などを無視して計算してみました。

プロ選手(事業所得)の場合

 収入金額 1億円

所得控除 38万円(基礎控除)
必要経費 0円(選手によって違うので今回は経費0円として計算)
※プロ選手の場合には、靴などの用具代や大会参加のための交通費のほか、トレーニング費用やコーチトレーナー費用なども選手自身の自己負担なので、実際の申告の際には、これらの経費を差し引いて税金を計算することになります。
課税所得 9,962万円

 税金内訳と総額

所得税及び復興特別所得税 40,873,600円
住民税 9,969,500円
個人事業税 0円 (法定業種以外のため)
税金合計 50,843,100円 (収入金額の約50.84%)
※但し、変動所得及び臨時所得の平均課税制度を利用することにより、節税可能

アマチュア選手(一時所得)の場合

収入金額 1億円

収入を得るために支出した金額 0円(金額は不明なので、今回は0円として計算)
※大会参加のための交通費などの直接かかった経費は差し引いて税金を計算することになります。
一時所得の所得金額 (1億円-0円-50万円)×1/2=4,975万円
所得控除 38万円(基礎控除)
課税所得 4,937万円

 税金内訳と総額

所得税及び復興特別所得税 17,786,300円
住民税 4,944,500円
税金合計 22,730,800円 (収入金額の約22.73%)
※ちなみに、一時所得は平均課税制度による節税は利用できません。

編集後記

当事務所のすぐ下が東京マラソンのコースだったため、当日はいつもの日曜日の神田と違い、スゴイ人混みでした。

当日もマラソンに惑わされずに、確定申告書の作成に勤しんだおかげで、自分自身の今年の確定申告のゴールが少し見えてきました。

今のところ、今回支給された選手は、1年後に再度日本新記録を更新すれば、さらに1億円が贈られるとのこと。
金額については、賛否両論あるようですが、支給する財源が残っているうちに、女子選手にも頑張ってほしいものです。

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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