代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2022.11.5

自治会や町内会の加入は強制なのか?

自治会

お住まいの住まいの地域の自治会や町内会などの定期総会の多くが開かれる季節ですが、「今年度から役員になってしまったので気が重い」「やっと1年の役員任期が終わってスッキリした」などいろいろな心の声が聞こえる季節です。

自治会や町内会のほかマンションの管理組合のうち、税務申告が必要な団体さんや会計報告の補佐などに数多くたずさわらせて頂いている関係で、運営している会長さんなどの役員さんから、「住んでいる住民が、みな高齢化で役員のなり手がいない。どうしよう。」といった相談が一番多いのは、都心・郊外や地方を問わず、どこも一緒です。

その次に、最近増えてきているのは、外国の方や若い方を中心に「自治会や町内会に加入していない人が増えて困っている」というもの。

そこで、今回はそんな『自治会や町内会の加入は強制なのか?』という問題を中心に、自治会などの運営の課題と解決方法を少しだけ。

 

自治会や町内会の加入は強制?

結論から先にいうと、自治会や町内会の加入は、あくまでも「任意です」

地域住民の任意の団体なので、入会は個人の自由であり、一度加入したとしても脱退することもできます。

実際に最高裁判所まで争った方もおり、平成17年に判決まであります。【自治会費等請求事件】

ただし、「民間のマンションなどの管理組合」は、区分所有法という法律により、区分所有者は建物の共用部分等を共同で管理する地位に立つことから、建物の管理を目的とする管理組合に加入することになり、管理組合への加入が「強制」となっています。

ちなみに、民間マンションの所有者ではなく、単にそのマンションを借りているだけの賃借人の人も、専有部分の占有者として管理組合の決定に服することになり、実質的に「ほぼ強制」となります。

自治会や町内会に加入しない場合のデメリットは?

一番の懸念は、家庭用ゴミの回収の問題です。

近年首都圏では、家庭ごみの集積所を設けて一括して収集するのをやめ、各家庭の前にごみを出してもらう「戸別収集」を導入する自治体が都市部で増えてますが、いまでも自治会や町内会で清掃管理している「ゴミ収集所」や「ゴミ置き場」をもうけているところが、まだまだ多く存在しています。

そのような地域では、加入しないと家庭用ゴミを収集してもらえませんという殺し文句のもと、泣く泣く加入している人もいるかと思います。

ただし本来、このゴミ(一般廃棄物)は、法律上(正確には廃棄物処理法6条の2という法律)で、市区町村がゴミを収集し運搬し処分しなければならないとされていますので、ゴミ収集は市区町村の義務なのです。

その対価として、市区町村に税金を支払っているからです(最近では有料ゴミシール)。

加入しないと、これの法律をたてに「自分自身で市区町村に戸別の回収をお願いする」か、「清掃を時々するので収集所を使わせて下さいと自治会などにお願い」などをしなければならないことも多くあります。

しかしながら、これからはゴミ回収の有料化もすすみ、戸別回収化はゴミを出した家庭が分かるようにすることでマナーを改善が当初の目的でしたが、ゴミの総量が減るという思わぬ効果があったので、この戸別回収が全国の市町村に広がるのは間違いありません。

よって徐々に、このゴミ問題は自治会などとは、かけ離れていくことでしょう。

ゴミ回収の問題のほかには、災害や緊急時の支援が受けられない(気が引ける)ということも考えられます。
(会費を払っていないから、非常時におまえには食料をやらない!という冷たい人は少ないとは思いますが)

これは多くの自治会や町内会が会費の中から、災害時の食料や寝具だけでなく消火器などを購入して備蓄し、避難場所や集会所などに保管しています。

会費をきちんと払っている人からすると、仮に非常時であっても良い気がしないのは、当然と言えば当然です。

したがって、このような事情を考えると、会費がもったいないという理由だけで、自治会や町内会に加入しないというのは、個人的には自分が住む地域のコミュニティーのあり方としてはどうかと思う次第です。

そもそも自治会や町内会がない地域はあるの?

調べたところ、ありました。
(正確にはネットワークされたものは無いと、市が述べているだけで、自主的にはあるそうです)
あの有名な「吉祥寺」がある『東京都武蔵野市』です。

その他に、私が現在住んでいる『東京都国立市』は、場所によっては自治会や町内会はあるものの、加入率が約30%ほどで、その低さが近隣では有名です。
(実のところ、私が住む地域では自治会や町内会はありませんし、回覧板が来たことは当然ありません。これが国立に家を買う小さな理由の一つであったことは確かです)
その代わりに、となりの立川市などとは大きく違い、大きなお祭りなどはほとんどありませんし、お祭りシーズンでもほぼ見かけません。

逆に、近隣に100%の加入率の自治会もあります。
先にも述べたお隣『東京都立川市の大山自治会』
遠く岐阜県のHPでも紹介されています。

【大山自治会について:岐阜県HP】

今後、「新居を購入予定の方」や「長年住む予定の住居のお引越をお考えの方」は、この様な「先の長い自治会や町内会とのお付き合い」などの地域性のこともを考慮して検討してみるのも良いかと思います。

自治会や町内会の役員になってくれる人がいない問題について

どの自治会や町内会さんも、中小企業の社長さんと同様に、その役員さんの後継者問題を抱えています。

日本全体の高齢化問題も地域社会にもおよび、役員のなり手がいないのが実情です。

このような場合に、取り得る手段として、ひたすらお願いするという啓蒙活動だけでは、ほぼ解決しません。

そこで、住民の合意が得られる範囲内で総会にて規約を改正して、役員さんの活動に対して相当の対価として『役務手当などを支給』したり、『その手当金を引き上げる』方法があります。

そして、それを住民全員にきちんと広報することにより、会社勤めをリタイヤした方など時間がある方が、今まで以上にメリットを感じて積極的に参加してもらうキッカケとなります。

さらに、その役員さんが長期にわたって携わってくれることも多くなり、今後長期的に対策が必要となる「孤独死防止のための見守り問題など」について、じっくり対応できるようになるという効果も期待できます。

ただし、これには注意点があります。

役員への手当の注意点

それは、この手当を支給するために、会費を引き上げするのは難しいのが現実です。

自治会や町内会の集会所を利用するカラオケなどのイベントなどを催しを増やし、利用を促進する共に有料化したり、集会所に携帯電話の基地局アンテナを設置することにより「通信電力助成金」をもらうほか、空いている駐車場を外部に貸し出すなどの財源を確保する必要があります。

当然ながら、自治会や町内会の運営に赤字は許されませんので、確実な収入の範囲内で決める必要があります。

その他には、特定の役員さんが会費を食い物にしていると他の住民の方に言われないためにも、『会計の透明性』も非常に重要です。

税金などの注意点

最後に税金などについて、下記のような注意点がありますので、ご留意下さい。

  1. 原則として、自治会活動の一環で住民に対して手当を支給する場合にも税金がかかる
  2. 年20万円以上の手当をもらう人は、税法上は雑所得として確定申告が必要
  3. 公務員等の方は、服務規程などの関係から職場に事前届出が必要になる可能性もある
編集後記

10年以上関与させて頂いている自治会さんの元会長さんが、昨年お亡くなりになったことを、先日打合せの際に現役員さんより知らされました。

とても優しい方で、長年にわたり会長職を献身的に勤めて頂いたりと、自治会にとても貢献して頂いた方で、ご病気であるのはお聞きしておりましたが、20年以上前にマンションのお隣に住んだのがご縁で、大変良くして頂いたので、とても残念でなりません。

この場をかりて、ご冥福をお祈り申し上げます。

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

最近の記事 おすすめ記事

ブログ記事(カテゴリー別)

PAGE TOP