代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2021.10.22

経営者や個人事業主が知っておくべき「経理の流れや業務の知識」について税理士がわかりやすく解説!

経理の経験がない「新たに法人を設立した方」や「フリーランスとして個人事業を始めた方」から、何をしないといけないのか、何をした方がいいのか!とよく聞かれます。

今回は、このような方向けに『経理の流れ』や『知っておくべき基礎知識』について、税理士がなるべくわかりやすく解説します。

経理は本当に必要?

『経理なんて、面倒なので年に一回しかやらない!面倒なのでやりたくない!』という人もいると思います。
しかし、キチンと毎月経理して、自分のビジネスについての成績表を確認することは、とても大切なことです。

倒産や廃業された方を、今までたくさん見てきましたが、その多くの方が、いわゆる『どんぶり勘定』でした。
キチンと経理した結果である成績表を、定期的に確認することは、『あれをしてみよう』『こう変えてみよう』といった改善を、すぐに実行することができます。

さらに、「税務対策を可能な限り事前にやることができる」だけでなく、毎月の売上金額がいち早く把握することによって「コロナ対策などの給付金を申請し受け取ることができる」ので、結果として、預金が多く残ることになります。

『営業と違い経理なんかしても、誰からも一銭ももらえない!』というのは事実ではありますが、長い目でみると、決して事実ではありません。

これからのビジネスは、昔とは違い、どんぶり勘定では通用しません。

自分でやったことが全部、毎月成績表として返ってくると、孤独な仕事も楽しく感じられるようにもなります。
一人でも多くの方が、楽しく仕事できるようになるための一助になれたらと思います。
前置きが長くなりましたが、では本題へ。

経理の流れと基礎知識

経理の流れは、一般的に下記のような流れとなります。

日常の業務

現金での入金と支払い

現金入金

預金から引き出した現金や現金売上などについて、現金出納帳などの帳簿に記載したり、直接会計ソフトへの入力をします。

現金支払い

現金で支払った経費などについても、現金出納帳などの帳簿に記載したり、直接会計ソフトへの入力をします。
最後に、データの残高と手元にある現金の一致を確認します。

領収書や請求書などの書類整理と保存

現金で支払った経費の領収書や、後日振込予定の請求書だけでなく、銀行口座から引き落とされた明細書などの書類は、原則として「7年間」保存しなければいけません。
クレジットカードなどで支払ったものについては、毎月の利用明細だけでなく、領収書についても、保存しなければなりません。
「現金で支払った領収書」と「クレジットカードなどで支払った領収書」は、経理する時にわかるように、分けて保存しておくと経理ミスを防止できます。

仕入や経費の請求書などの受領と保存

後日支払う必要がある仕入先などから届いた請求書や納品書を保存します。
こちらの書類も、原則として「7年間」保存しなければいけません。

毎月の業務

預金の取引の会計ソフトへの入力と預金残高の確認

預金通帳や取引明細を見ながら、それぞれ入金と出金について会計ソフトへ入力し、月末の預金残高との一致を確認します。

売上の請求書の発行と保存

売上先に請求する請求書を2部作成し、1部は売上先に郵送し、残りの1部は控えとして保存します。
こちらの書類も、原則として「7年間」保存しなければいけません。
後で入金確認がしやすいように、発行した請求書は取引先別に保管しておくのが良いでしょう。
その後、請求書を発行したら、売上について会計ソフトへ入力します。

売上の入金確認

会計ソフトの売掛金などの項目を確認し、売上代金がきちんと入金されているかどうか確認します。
振込手数料などが差し引かれている場合には、差額について支払手数料などの経費項目で経費処理をします。

仕入や経費の支払い

仕入先などから届いた請求書により、振込などの支払手続きをします。
支払い後は、後で確認がしやすいように、取引先別に保管しておくのが良いでしょう。

給与計算と給与振込

給与支払日の前に、残業代や通勤費などを確認し、給料計算を行います。
給料振込が終わったら、給与について会計ソフトへ入力します。

月次試算表の作成

預金や売掛金買掛金などの月末での残高を確認し、月次の試算表を作成します。

決算や納税予定表の作成

毎月の試算表を作成したら終わりではありません!
月次の試算表の作成が終わったら、確定した月までの数字と、決算期末までの売上や経費などを見込んだ「決算納税予定表」を作成し、決算数字や決算により納付することになる税金について、計算し確認しておくことが、一番大切です。

予算進捗管理表の作成

年間予算を立てている場合は、予算の進捗度合いを確認する「予算進捗管理表」などを作成し確認しましょう。

決算や年末の業務

在庫商品の棚卸

在庫があるビジネスをしている場合には、必ず決算日に棚卸をします。
在庫管理ソフトを使っている場合には「在庫管理ソフトの残高」と「実地棚卸残高」との差額について、適切に会計処理を行います。

預金残高の最終確認

定期預金や積立預金を含めた預金残高について、会計ソフト残高と一致しているかどうか確認します。

売掛金や買掛金などの残高の最終確認

決算日時点の売掛金や買掛金などについて、取引先別に一致しているかどうか確認します。

決算整理(減価償却費の計上など)

在庫の経理処理や、備品などの資産について減価償却費のほか、決算により納付する税金についての経理処理を行います。

決算報告書の作成

全ての経理処理が終わったら、最終的な決算報告書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表)を作成します。

税務申告書の作成と提出

決算報告書の作成が終わったら、その数字に基づいて、税務署・都道府県・市区町村に提出する「申告書」作成し、申告期限までに、それぞれ提出します。
なお、法人が税務署へ提出する申告書は、下記のようなものがあります。

  • 法人税・地方法人税の確定申告書
  • 決算報告書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表など)
  • 内訳明細書
  • 事業概況報告書
  • 適用額明細書
  • 消費税の確定申告書

税金の納付

税務署などへの申告書の提出が終わったら、納付期限までに税金を納付します。

来期の事業計画や予算の作成など

決算が終わったら、来期目標である「事業計画」や「予算」の作成を行います。

編集後記

毎月関与させて頂いている顧問先の半数以上は、月末を過ぎると、次の月の10日ぐらいまでには、経理のデータなどを、毎月必ず送ってくれます。

すぐに、数字を確定して試算表を作成し、それに基づいて、決算までの予想である「決算予定表」と「納税予定表」を作成し、様々なコメントをつけて、報告のメールをしています。

なので、申告期限などがある月末よりも、月初の方が事務的に忙しいのが、毎月のルーティーンとなっています。

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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