代表税理士ブログ

【 最終更新日 】 2021.10.26

年金受給者は確定申告しないといけない?したほうが良いケースは?

年金受給者と確定申告

あまり知られていませんが、年金の受給を受けている人は、原則は確定申告しなければならないことになっております。
ただし、下記の2つに該当する場合には「年金所得者の確定申告不要制度」により確定申告しなくてもよい(任意となる)ことになります。図式にすると下記の様になります。

引用元:内閣府大臣官房政府広報室

年金収入の所得税

65歳未満の方は年間108万円、65歳以上の方は年間158万円以上の年金をもらっている場合には、年金から所得税が源泉徴収されています。

所得税の源泉徴収は、あくまで「仮の概算金額を差し引いている」に過ぎないため、何らかの形で1年間の合計額にて税金を再計算する必要があります。

給料の場合は年末調整で再計算を行いますが、年金にはこのようなしくみがないため、自分で確定申告を行い、納付税額を正しく確定させる必要があるのです。

確定申告不要制度

原則としてしなければならない確定申告ですが、下の条件の両方に当てはまる人は、確定申告をする必要はありません。

  • 公的年金等の収入金額が400万円以下
  • 公的年金等以外の所得が20万円以下

例えば、年金が年に230万円、給与が年に70万円の方は、年金の収入金額が400万円以下ですし、給与は収入としては70万円ありますが、給与所得控除(最低65万円 → 改正により55万円)を差し引いた所得ということで見ると70万円-55万円=15万円となり、確定申告不要制度の条件に当てはまりますので、税務署への確定申告は不要となります。

確定申告をした方がよい場合

現在の年金生活者の方には、確定申告をしていない方が多いと思います。
確定申告は何かと手間なのと、あまり税務署が広報活動していないのが原因かと思います。
しかし確定申告の必要がない人であっても、源泉徴収された税金がある場合には、確定申告を行ったほうがよいケースが多くあります。確定申告をすると所得税の還付を受けられるだけでなく、住民税も減額となります。

確定申告した方がよい方
  • 医療費控除を受けられる場合
  • 配偶者の国民年金保険料を支払った場合
  • 国民健康保険・後期高齢者医療保険料や介護保険などの社会保険料を支払った場合
  • 生命保険や地震保険などの保険料を支払った場合
  • 日本年金機構に扶養控除等申告書ハガキを提出しなかった方など

確定申告すると所得税の還付ではなく納付となるケース

還付金をもらおうと確定申告したら還付ではなく納付となってしまった

この様な相談が確定申告時期によくあります。
これは、年金を受給しながら会社などで働いている方によく起こる現象です。

納付となってしまう原因

会社にお勤めの方は、会社から『給与所得者の扶養者控除申告書』の提出を求められると思います。
また、年金受給されている方も、日本年金機構から『公的年金等の受給者の扶養控除等申告書』を提出を求められます。

年金の支払の際には、所得税を源泉徴収することが義務付けられており、源泉徴収する際に、控除額の算出のために受給者の方から扶養親族等申告書をご提出する必要があるからです。

会社と日本年金機構の2ヶ所に、この扶養者控除申告書を提出してしまうと、給与と年金で二重で所得控除がされてしまい、実際の金額よりも源泉所得税の金額が少なく控除されてしまいます。(その分、毎月の手取り額は増えることになります)

上記が原因で、確定申告すると二重控除となっていた分が解消されて計算され、所得税を追加で納税することになってしまうのです。

対応策

  • 給与収入が75万円(=給与所得が20万円)以下の場合には、確定申告しない方法(住民税を含めると確定申告した方がお得な場合がありますので税理士にシミレーションしてもらう方が得策です)
  • 今年は納付として確定申告をするが、来年以降は還付となるように、今後は日本年金機構に扶養親族等申告書ハガキを提出しない方法

投稿者プロフィール

東京パトレ税務法務オフィス
東京パトレ税務法務オフィス
盛永崇也(東京の神田で開業している税理士/行政書士事務所の代表)

「税務相談/税務顧問や経理経営支援/法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行/法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートをさせて頂いております。

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